【飲食店開業】店名のつけ方で押さえておきたいポイントとは?
飲食店を開業する際、必ず店名をつけますが、店名は、看板をはじめ、ホームページやチラシ、ナプキンや箸袋までいたるところに記載されるものです。よく考えずにお店の名前を決めてしまうと、のちのち後悔する事にもなりかねません。
今回は、飲食店における店名のつけ方で押さえておきたいポイントについて解説していきます。
飲食店における店名の役割とは?
飲食店の店名を命名をする前に、知っておいたほうがいいのが店名が果たすべき役割です。店名とはお店を識別する以外にも役割があります。この店名の役割を知らずに名前を付けてしまうと、後々後悔することになってしまうかもしれませんので注意しましょう。
他店との差別化ができる
同じ種類のメニューでもまわりのはたくさんのライバル店がいるでしょう。せっかく飲食店を開くのなら繁盛したほうがいいですよね。店名は繁盛する大きなポイントになります。そして、お店の看板になるのも店名です。看板になると同時に、他店の差別化ができる部分でもあります。他店と同じやり方では差別化がうまくできず、お客さんも入ってくれません。常連客はもちろんのこと新規のお客さんを獲得するためには、店名が大きな役割を果たします。店名での差別化をするため、出店地域の情報や客層のリサーチ、ターゲットのしぼりこみ、オリジナルロゴの作成など自店の強みを出していかなければなりません。
お店のコンセプトを伝える
店名は「お店のコンセプト」につながるほど重要なものです。名前で提供しているメニューがわかれば、お客さんも安心します。しかし、コンセプトが明確になっていないお店には不信感を持つものです。できることなら、店名を決める前にお店のコンセプトを明確にしておきましょう。
たとえば、ラーメン屋であれば「ラーメン○○」、カレーなら「○○カレー」など料理の名前を店名にいれるのも1つの方法です。飲食店の店名は“提供するメニュー”を1番に持ってきて決めるといいでしょう。実際、飲食店を出してからさまざまな料理に手を付けて失敗したお店はたくさんあります。コンセプトが中途半端になってしまってはいけません。
イメージさせる
飲食店とはその名の通り、食事を提供するお店ですが、店名によってお店でどのような食べ物を提供しているかをわからせるのも重要です。そのお店が何のお店かをイメージさせることで、その料理を食べたい人が来店するので、集客しやすくなるのです。店名に料理やジャンルの言葉を入れることによって、ニーズを持った人が来店し、顧客の満足を得やすいです。
例えば、「丸亀製麺」「かっぱ寿司」「いきなりステーキ」などは料理をうまくイメージさせています。店名を見ればどんな料理があるかがわかりますよね。ただしこの場合は、ニッチな食べ物よりも認知されていたり需要がある料理名やジャンルを入れなくてはなりません。
例えば「もやし料理専門〇〇」などとしても、そこまで需要はないでしょう。また、「市場」「港」「鮮魚店」「水産」などの言葉を使うことで、新鮮さや大衆性をアピールすることもできます。
食欲をあおる
人は言葉を見て、頭のなかで食べ物をイメージします。だからこそ、食べ物をおいしくそうに表現することで、食欲をあおることができます。鮮明に食べ物を頭のなかに映し出すような言葉を店名に利用することで、お客様の欲求を掻き立てることができるのです。店名で人の頭のなかにイメージを作り、食欲を煽り来店してもらうのが大事です。
例えば、店名の前につける表現として、「新鮮」「絶品」「備長炭炭火焼」「すごい煮干しラーメン」などによって、食欲を煽ることができるでしょう。
店名を決めるうえで、気をつけたいポイント
店名を決めるうえで、気をつけたいポイントが3つあります。
- ①読めない、覚えられない
- ②誤解を与える
- ③他店と似ている、かぶっている
①読めない、覚えられない
ケーキ屋さんやカフェなどには、フランス語やイタリア語の長い名前をつけたくなるでしょう。横文字の名前は確かにおしゃれではありますが、はじめてのお客さまには、ほぼ覚えてもらえません。長すぎるヨーロッパ風の店名や、漢字のみで表記する中国語の店名などは、読めない、覚えられないため、認知度を上げるのが難しくなります。
②誤解を与える
何を売っているのか、どんな料理が食べられるのかが店名からイメージできないと、お客さまの頭に印象を残すことは難しいです。そして「何のお店か分からない店名」だけでなく、「字面で誤解させてしまうような店名」も避けた方がよいでしょう。
③他店と似ている、かぶっている
お店の名前を決めたら、同じエリアにある既存店が似たような店名を使っていないか、必ず確認しましょう。お客さまに似たようなお店だと思われてしまい、ブランディングが難しくなります。また、ほかのお店が商標登録をしていた場合、同じ店名を使うと罰せられることもあります。そこまでの事態にはならないにしても、営業妨害と思われる可能性は十分にあるでしょう。
繁盛店に共通する店名の特徴とは?
では反対に、繁盛店に共通する店名の特徴とはどのようなものでしょうか。
- ①2~7文字である
- ②ショルダーネームがある
- ③客層を意識した店名
- ④お店を連想するキーワードが入っている
①2~7文字である
料理がおいしかったのに名前が思い出せないことありませんか?長い店名は人の記憶に残りにくいです。できるだけ多くの人に店名を覚えてほしいのなら、文字数を2文字~7文字に収めてください。書いたときの店名が2文字~7文字以内なら、ほとんどの人が覚えやすいです。逆に、7文字以上で決めてしまうと覚えることができなくなってしまいます。口に出して店名を言うと長く感じるものです。
②ショルダーネームがある
ショルダーネームとは、お店の肩書きのことです。
- パン屋⇒「ベーカリー 〇〇〇」
- 喫茶店⇒「珈琲専門店 ◇◇◇」
- 焼き鳥屋⇒「鳥料理と地酒 □□□」
このように、店名(〇〇〇)の前につけるものです。お店の名前にショルダーネームをつける最大のメリットは、何のお店かすぐに分かってもらえること。焼き鳥が食べたいと思いながら歩いている時に、『焼鳥 でんぞう』という看板があったらつい入ってしまいます。ショルダーネームがあるだけで、「〇〇が食べたい」「こんなお店に行きたい」と思っているお客さまに、ダイレクトにアプローチできます。
③客層を意識した店名
飲食店によって客層が違います。若者向けにサービスを提供しているおしゃれなカフェ、サラリーマンを中心に集めている居酒屋などさまざまです。「客層」こそわかりやすい店名を付けるポイントになるでしょう。中高年向けに始める飲食店なら英語表記はわかりにくくなります。しかし、20代向けの飲食店にするのならおしゃれな名前のほうがアピールできるでしょう。名前の雰囲気によってお店の特徴や印象を把握する人がほとんどです。飲食店のコンセプトに合った世代を考え、わかりやすい店名を選びましょう。決め方をある程度しぼっておけば意外と簡単に決まるものです。
④お店を連想するキーワードが入っている
提供する料理や立地の特徴、開店までのエピソード、オーナーの好きな言葉など、お店にまつわるキーワードを挙げてみましょう。それらを組み合わせると、造語の店名が浮かんでくるかもしれません。ただし、あまりに意味不明な店名にすると、何のお店かわからなくなってしまうので要注意です。
もちろん、キーワードは無理に組み合わせなくてもOKです。5月にオープンするサンドイッチのお店なら、「サンドイッチバー メイ(May)」などでもいいのです。新緑のきれいな並木道にあるお店なら、ブランディング効果もあります。
お店の名前が決まったら「商標登録」して他店とのトラブルを避けよう
店名が決まったら、必ず商標登録をしましょう。「個人経営の小さいお店なのに、商標登録をする必要があるの?」と思うかもしれません。でも、他店と店名がかぶった場合、思わぬトラブルに巻き込まれる可能性があります。
商標権は、どちらが先にオープンしたかにかかわらず、先に登録をしたお店に与えられます。お店の名前が、すでに商標権を持っている他店とかぶると、訴えられてしまうかもしれません。そうなれば、「パクリ」というマイナスイメージがつくだけでなく、今までの店名は使えなくなります。費用をかけて、看板やホームページ、紙ナプキンやおしぼりなどを作り直さなければなりません。商標登録にはある程度の費用がかかりますが、大切な店名を泣く泣く手放すことのないよう、忘れずに登録をしておきましょう。
まずは、使用したい店名が既に登録されているかどうかを特許情報プラットホームで調べることをおすすめします。
まとめ
店名は、一度決めたら滅多に変えられません。あらゆる備品が作り直しになるだけでなく、通ってくれていたお客さまや、評判や信頼までも失う可能性があるからです。繁盛するお店となりお客さまと末永くお付き合いするためにも、後悔のないネーミングを考えましょう。