飲食店における在庫管理方法のポイントとは?
飲食店の利益を確保する為には、在庫管理が重要になってきます。注文の機会損失を防ぎ、過剰な食品ロスを削減するには、常に過不足のない在庫状態を保つことが理想的になってきます。
そこで今回は、飲食店における在庫管理方法のポイントについてご紹介していきます。
そもそも在庫管理とは?
在庫管理とは、保管、管理している在庫物(食材、製品、半製品)に対して、品質の低下、機能の低下及びこれによる価格の低下を最小限の費用で防止し、要求された時に必要な量が適切に供給されることです。また、常に変動する需要に対応できるよう入庫数量を確保することです。
在庫管理は過剰な食材の発注をしない、食材をムダにしない、そして、食品事故、食中毒を防ぐことを目的として行う経営上の手法です。在庫を管理するということは、在庫を保有することによる品切れを防ぎ、販売の機会損失を防ぎます。また、適切な食材発注量を決めることであり、毎月の利益を棚卸という手段で確定させることでもあります。在庫管理は正確な原価率の算定にも必要な手法です。
飲食店における在庫管理の方法とは?
では、具体的にどのように在庫管理を行えばいいのか説明していきます。
在庫状況の把握
まずは現在の在庫量を把握します。このとき、食材の消費期限や半製品・製品の賞味期限を意識することが大切です。消費期限を過ぎると、人体に悪影響を及ぼす可能性があり、賞味期限が過ぎると、風味や品質を保てなくなり、商品としての価値がなくなります。
適正な仕入れ量の決定
予約状況・天気・気温・曜日・イベントの有無などから、お客さんの数を予測し、仕入れ量を決定します。生ものは、その日に使い切れる分だけ確保しましょう。定期的に仕入れる食材の仕入れ量は、1日の利用量・現在の在庫状況・リードタイムなどから決定します。季節の食材は、前年の仕入れ量を参考にすると良いでしょう。開店したばかりの飲食店であれば、予測量に20%上乗せして仕入れるのがおすすめです。
棚卸の実施
棚卸とは、週や月ごとに在庫量や品質をチェックする作業です。保管方法や衛生状態が適正か確認します。記録された在庫数は、月次の原価率や利益率を計算するときに利用されます。仕入れ価格の変動を把握するときにも役立ち、経営の分析・改善に活かせるでしょう。
具体的なやり方は、棚卸表に数量・単価を入れ、売上原価を算出します。食材や食品名は、棚卸表にあらかじめ印刷しておくのがおすすめです。また、棚卸は調理スタッフ全員で取り組みましょう。スタッフひとりひとりに、在庫=お金という意識が生まれ、在庫管理を効率化できるはずです。
飲食店で在庫管理をうまく行うポイントとは?
在庫管理をうまく行うには、どのような点に注意すればよいのでしょうか。
食材を分けて保存する
まず食品事故を防ぐために気をつけなければならないのが、仕入れた食材の保存方法です。
肉や魚介類およびそのドリップが、他の食材やできあがった製品と接触すると、細菌やウイルスによる食中毒の原因となる恐れがあります。各食材と、できあがった製品や半製品は必ず区別し、清潔なバットやビニール袋、蓋付きのタッパーなど、別の容器に分けて保管。それぞれが接触しないように注意する必要があります。
決まった手順・時間で発注する
在庫管理は1日のうち他業務との兼ね合いがつく時間帯に、決まった手順で行う必要があります。決まった時間に行うことで、スケジュール管理も楽になるでしょう。手順をマニュアル化すれば在庫管理のミスも減らせます。
ひとりで業務を行うのが困難な場合は、他のスタッフに助言を求めましょう。在庫管理がうまい企業ほど、食材の在庫表や発注表などを作成して、全員が在庫を把握しやすいように工夫しています。
日付の記入
さらに生鮮食品を扱う飲食店では、食材の消費期限である「シェルフライフ」と、製品および半製品の賞味期限である「ホールディングタイム」をそれぞれ把握しておかなければなりません。食材を保管した容器には、必ず日付を記入します。納入日や開封日、解凍日、賞味期限、消費期限などの必要な情報が、一目で分かるように記載しておきましょう。
特に、一度調理や冷凍を施した食材は、新しいものと古いものとの区別がつきづらくなってしまいます。しかし日付を書いて管理することで、先に使用するべき食材を簡単に判断できます。万が一、期日の過ぎた食材があった場合には、速やかに廃棄してください。
エクセルの無料テンプレートを活用
エクセルのテンプレートには、あらかじめ項目や計算式が設定されています。そのため、数値を入力するだけで在庫数などを確認可能です。ただし、入出庫一覧表と在庫一覧表など、異なる性質をもったデータ同士の連携には向いていません。在庫管理システムのような機能をエクセルに持たせることは難しいのです。
在庫管理システムを活用
在庫管理システムとは、大量の在庫を効率的に管理できるソフトウェアのことです。在庫の入出庫状況を一元管理でき、仕入れ量を予測しやすくなります。
また、在庫管理システムは、一部の作業を自動化することにより業務の時間や手間を省けます。バーコードをハンディーターミナルで読み込むだけで棚卸ができ、入力作業がないため人的ミスを防ぐことも可能です。
まとめ
飲食店の在庫管理は決して難しい業務ではありませんが、多少手間がかかります。エクセルでのフォーマットをダウンロードして使用している方が多いとされますが、お店で必要な最小限のデータ収集のみに絞って在庫管理表を作成しないと、毎日の在庫管理業務が大変です。
日々、怠ることなく実施することで、お店の利益やお客様満足度の向上に役立てていきましょう。