お客様のニーズに応える!飲食店の成長戦略としてのデリバリー
売上をもっと伸ばしたいという飲食店にとっての切り札、それがデリバリーサービスと言えます。新型コロナウイルスの影響で店舗での営業が制限される中、現在「デリバリー」や「テイクアウト」が注目されています。
今回は、新たに飲食店が『デリバリー』を始める為の準備について解説していきます。
デリバリーに許可は必要なのか?
デリバリーサービスを始めるために必要な資格や届出については、一般的には「店舗ですでに営業許可を受けていて店内と同様のメニューをデリバリーする場合には、特別な資格や届出は必要ない」と言われています。
都道府県によっては、宅配サービスとして「貨物軽自動車運送事業の届出」が必要となる可能性もあります。そのため、デリバリーを始める場合は地方運輸局にもあらかじめ確認しておくことをおすすめします。
細かいルールや条件は、自治体によって変わるケースがありますので、デリバリーを始める際には保健所に確認しておきましょう。
飲食店営業許可だけではデリバリ―ができない料理がある
例えばケーキやパン、アイスクリームのデリバリ―販売。これらは、店舗内でデザートなどとして食べる分には別途許可は必要なく、飲食店営業許可のみで大丈夫です。しかし、これらをデリバリ―するには、別途「菓子製造業」や「アイスクリーム類製造業」といった許可が必要になる場合があります。以下で主要な例を挙げます。
食肉製品
原則、食肉製品を販売するためには特別な許可が必要です。食肉製品には、ハム、ソーセージ、ベーコン、焼き豚、ローストチキン、コンビーフなどの他、肉を50%以上含むハンバーグやミートボール、テリーヌなども含まれます。ただし、生ハムをスライスしてサンドイッチにしたり、野菜のテリーヌをオードブルの1品としてお弁当に入れるなどの場合は、特別な許可を必要としません。生ハム単体で販売する場合には「食肉製品製造業」の届け出が必要です。テイクアウトメニューにする場合は、生ハムサラダとして野菜と一緒に提供するなどのアレンジが必要です。線引きが難しいジャンルですので、不安な場合には所管の保健所にご確認ください。
冷凍食品
保存性を高めるために料理を「冷凍」すると、別途冷凍食品を販売するための許可が必要になります。冷凍食品は長期間保存される可能性が高く、お客様自身が行う再加熱の調理工程も管理できないためです。また、カレー、シチューなどの液体の多い料理を「冷蔵」で販売する場合も、特別な許可(惣菜製造業許可など)が必要とされる可能性があります。
パン
お店で調理をした「調理パン」を販売する場合には、特別な許可は必要ありません。小分けにする(お店で手を加える)、調理パンを仕入れて販売する場合には、「菓子製造業」の許可が必要となります。別のお店で作ったパンを販売する場合には、食品表示などにも注意が必要です。
菓子
デザート類の販売には、「菓子製造業」や「アイスクリーム類製造業」などの許可が必要です。クッキー1枚であっても許可が必要ですので、十分に注意してください。
ソース類
ケチャップやマヨネーズ、焼肉のタレなど料理に添える場合には、特別な許可は不要です。ですが、お店のオリジナル商品としてドレッシングやソースのみを単体で販売する場合には、「ソース類製造業」などの許可が必要となります。
デリバリーで消費期限や原材料名の表示は必要なのか?
店内で調理した料理をデリバリーする際には、消費期限や内容量、原材料名などを表示する必要はありません。一方、製造・加工した食材を単に仕入れて販売する場合や、セントラルキッチンなどで調理された料理を販売する場合などは、表示が義務付けられています。
表示についても営業許可と同様に、事前に保健所に確認しておきましょう。
デリバリーサービスを始めるメリットデメリット
メリット
店舗でもデリバリーサービスでも同じ料理を扱うのであればメリットは多いでしょう。食材のロスも少なく、オペレーションと設備は同じものを使用できますし、それに合わせて人件費も抑えられます。また、天気が良くない日や時間帯、お花見やスポーツ観戦などイベントシーズンにはデリバリーサービスの需要が増えるでしょう。
デリバリーサービスで料理が美味しい、接客態度が良いなどといった評価を得た場合、店舗でもと店舗の新規顧客獲得につながる可能性もあります。
デメリット
調理してから食べるまでに時間がかかるデリバリーサービスは、店舗以上に衛生面に気をつけなければなりません。すぐに食べてもらう料理の場合は特に注意が必要ですし、品質を高める工夫も求められます。
デリバリー開始前に準備や確認しておきたい事とは?
テイクアウトやデリバリーを始める際には、容器や人材の確保、オペレーションなどさまざまな準備が必要になる。代表的な例としては、以下が挙げられます。
デリバリー専用の容器を準備する
料理をデリバリーする場合には、料理に合わせた使い捨て容器を準備する必要があります。容器から水分が漏れない、持ち運んだときに崩れない、ゴミの分別がしやすいなど、使いやすさを考慮しつつコストを抑えた容器を選びましょう。ほかにも割り箸やスプーン、持ち帰り用の袋の準備も必要になってきます。
デリバリーするエリアを決定する
デリバリーを行う際は、どの地域まで配達するのかを決めておかなければならない。注文を受けてから30~40分で配達するためには、調理の時間を考慮して、店舗から片道15分圏内にするのが理想的です。
デリバリーのオペレーションを決定する
注文を受けてからデリバリーするまでのオペレーションなど、新しい仕組みを考える必要があります。デリバリーを担当するスタッフを募集し、配達エリアや配達時間など、細かくルールを設けましょう。また、フードデリバリーで最も多い注文方法は電話です。電話対応の教育もしっかり行う必要があります。
デリバリーをする人材の用意
デリバリーを行うには配達スタッフが必要になる。店の営業に支障をきたさないよう、既存スタッフの人数を調整する、新たにデリバリーをするスタッフを雇うなどの対策をしましょう。配達員を自前で用意せず「Uber Eats」などのサービスを活用するのも手です。
メニューや衛生管理についてPRする準備
メニューや衛生管理について、ホームページやSNSでアピールすることで消費者にとって安心してオーダーできる環境が整うはずです。位置情報・営業のおしらせ・魅力的なメニュー紹介などの情報提供をネット上で的確に行えているかが集客に欠かせないポイントの1つだと言えます。
顧客の個人情報の取り扱いについて検討
デリバリーを行う際には、配達先の住所や氏名、電話番号などの個人情報を取り扱うことになりますので、個人情報を記したメモは持ち出さない事や、調達後の個人情報をどのように処理するかなど、情報管理の方法を検討しておく必要があります。
デリバリーサービスの集客が大事!?
デリバリーサービスを始めたら、告知と集客は大変大事になります。来店するお客様と、デリバリーサービスを利用するお客様は必ずしも一致するとは限らないからです。店内に「デリバリーサービス、始めました」という広告を貼るだけではなく、定期的なポスティングや新聞のチラシなど、対応エリアのお客様に覚えてもらうための宣伝を続けることが大切です。
ウェブサイトやソーシャルメディア、ブログなどで、料理やこだわりを発信したり、オンラインで注文を受けるシステムを導入したりすると、利用者の幅が広がります。
人手が確保できない場合は、デリバリー代行サービスの利用も検討しよう!
デリバリーを始める際、自前で配達機能を持たない場合は、デリバリー代行サービスを利用するのも選択肢の一つです。手数料等の費用はかかりますが、サイトやアプリに登録することで、認知度や集客力が高まるだけでなく、通常の営業に支障をきたさずにデリバリーサービスを展開することができる。
デリバリー代行サービスとして代表的なサービスは以下が挙げられます。
Uber Eats
世界500以上の都市でサービスが提供され、日本では東京・大阪・名古屋など大都市圏を中心に利用が可能。エリアは限定されるが、知名度が高い、初期費用がかからないといったメリットがあります。
出前館
日本最大級の宅配ポータルサイトで、これまでは自社で出前を行っている店舗のポータルサイトでしたが、2017年に配達機能を持たない店舗でも、『出前館』に加盟する複数店舗で、『出前館』が連携した配達機能をシェアすることにより、出前が可能になるサービス「シェアリングデリバリーR」を開始しました。
ファインダイン
「地元レストランの料理を出来たてのままお届けする」をコンセプトに、2006年4月にサービスを開始しました。宅配寿司の業界シェアトップ「銀のさら」を展開するライドオンエクスプレスが運営しています。
楽天デリバリー
宅配ピザやお寿司など、全国で12,000店舗以上が登録しており、エリアで検索すれば、ジャンルや待ち時間などから店舗を比較することもできます。
まとめ
デリバリーはリスク対策を行えば、お店の協力な武器になります。新型コロナウイルス感染防止対策だけではなく、近年の単身者や共働きの増加など、人々のライフスタイルの変化によって、デリバリーを含む中食産業は今後も伸びしろが大きい市場と言えます。
デリバリー参入における課題は様々ありますが、席数の制限を超えて売上を上げることができる点において、とても魅力的です。時間は掛かりますが多くのリピーターを獲得することで、安定的に売上を上げていくことができるため、是非検討してみましょう。