飲食店出店前の競合調査について解説
飲食店を開業するにあたり、立地選びは大変重要ですが、出店予定地周辺の競合店調査をすることも、業態決定の参考にしたり、出店可否の判断材料にするために非常に重要です。
今回は、飲食店出店前の競合調査について解説していきます。
競合店は避けるべきなのか?
競合店を避けるのか、あえてそこに飛び込んでいくのかについては、賛否両論で、どちらが正解とはなかなか難しい所です。競合店が多い地域では、客の取り合いになりますので、ある程度の魅力がないと淘汰されてしまう可能性が高いでしょう。しかし、競合店がいないということは、飲食店の需要自体が少ないというリスクがあるということでもあります。わざわざ足を運んでもらうだけの魅力がある高級店などは別ですが、基本的には、顧客がいる地域でなければ飲食店を経営していくことは難しいと考えられます。
競合調査の目的
当然競合調査をする目的は、自分のお店の売上を上げる為です。競合店によりお店の売上げが左右されるため、出店予定地の近くにどのようなお店があるかを知っておくことは大変重要です。
また、競合店を調査する事で、「どんな客層が」「どんな時間帯に」「どのような目的で」来店しているかといった、出店意思を決定するための様々な情報を手に入れることができます。
競合店は同じ業種とも限らない?
多くの方が勘違いしているのは、競合店と言うのは自店と同じ業種の店だろうと思いこんでいる点です。例えば海鮮居酒屋を開業しようとしている方は、同じ海鮮居酒屋が周囲にあるかは気にしますが、果たしてそれだけが競合店でしょうか?お客様の立場にたって考えるとよくわかりますが、お客様は業種を決めてからお店を選ぶことよりも、ほかの様々な要因を総合してお店を選ぶことが多いのです。
例えば、会社の同僚と3人で飲みに行く、予算は5,000円ぐらい、お洒落な感じではなく賑やかな感じの店がいい、という風にしてその条件に合うお店を探します。このときお客様側の選択肢にあるのは、当然海鮮居酒屋に限らず、焼き肉店、韓国料理店など様々です。つまりご自身のお店の競合店は、業種ではなくお客様の利用動機によって決まってくるのです。
この利用動機の中でも最も大きな要因は予算と利用シーン(仕事帰りに同僚と一杯、デート向け、ファミリー向けなど)です。価格帯が同じで、なおかつ利用シーンが自店と同じと想定されるお店を競合店とみなし、そこを重点的に調査する必要があります。この点に注意しないと、周囲に同業種がいないからと安易に出店してみたものの、実は沢山ある競合店に客を奪われて、さっぱりお客様が来ないということが実際におこってきます。
具体的な競合店定義
具体的な競合店定義は主に以下になります。
- 商品(メニュー)
- 価格 (単価)
- 利用シーン
商品(メニュー)が同じか、あるいは似ている店は競合店と考えられます。例えばラーメン店であれば他のラーメン店というように、業種業態が同じ店を調査します。 また、メイン商品の価格や客単価が同程度の店も競合となります。ラーメン1杯が700円であれば、1杯1000円のラーメン店よりも、客単価が700円の定食店の方がより強い競合になる事があります。 お店を利用するシーンが似ている場合も競合となります。ラーメン店に来るお客が「手軽に短時間で食事を済ませたい」という目的であれば、牛丼店やハンバーガー店が競合になるかもしれません。このように、自店の特性をよく考え、どのような店が競合店になるかを把握して調査する必要があります。
競合調査項目
競合店を調査する際は、まずは調査項目を決めてから現地に向かいましょう。お店の売上を左右する要因を全て調べられれば良いのですが、項目が多岐にわたるため、まずは「業種・業態」、「店舗規模」、「自店からの距離」、「客単価」、「入店数・入店率」、「客層」、「立地優劣」等を調査します。
他にも、例えばセルフサービスの喫茶店の出店を考える場合は、「セルフサービス、フルサービス」を調査項目に追加するといった工夫が必要になります。
競合店の売上推定方法
競合店の売上がわかれば自店の売上推定に役立ちます。競合店売上推定方法をお知らせします。
入店者数をカウント
開店から閉店までの入店者数を数えます。総入店者数×客単価が売上推定値になります。面倒ですが、平日と休日を分けて行ったほうがよりよい調査となります。
レシートを入手
レシートに通し番号が印字されている場合、開店直後と閉店直前のレシートを入手すればおおよその入店者数がわかります。ただし、この方法は「入店者数」ではなく、会計する「組数」になってしまう点に注意する必要があります。
チェーン本部に問い合わせをする
チェーン店であれば本部に直接問い合わせる方法があります。また、FC本部ではモデル店の売上を公表している場合があるので、店舗規模や従業員数等を比較し、売上げを推定する方法もあります。
その他、競合店の売上推定方法
その他には、企業のホームページや有価証券報告書の数値をもとにした推定や、店長やオーナーに直接聞いてしまうといった方法もあります。
まとめ
いかがでしたでしょうか?競合調査は面倒ですが、ご自身のお店の今後が左右される大切な事ですので、必ず行うようにしましょう。ただ、競合店を気にし過ぎるあまり自店の魅力が損なわれることがないように注意してください。また、強力な競合店がいるからといってその地域を避けるのもよくない場合があります。ほかを意識することも大切ですが、自分の店の魅力を磨くことについても常に意識しておくようにしましょう。
最後に、地図上に各店舗の位置と入手した情報を記入してみると、競合店の状況や自店のポジションが一目で把握できます。 出店前には競合地図を作成してみることをおススメします。