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ケーキ屋での開業について~必要資格や開業資金など~


子供の頃「ケーキやさんになりたい」と思っていた人も多い人気の仕事ですが、実際にケーキ屋を開業するには何がどのぐらい必要なのかを詳しく知っているという人はごく少数です。

今回は、ケーキ屋での開業について解説していきます。

ケーキ屋開業に必要な資格について

「製菓衛生師」や「菓子製造技能士」などパティシエとして働くには有利な資格はありますが、開業には必須ではありません。開業後店頭に飾っておくとイメージがよくなる程度のものです。

  • 食品衛生責任者:飲食業では開業に必ず必要なもの。
  • 防火管理責任者:収容人数30名以下であれば不必要。

開業に必ず必要なのは上記2つになります。どちらも1~2日講習を受ければ取得が可能で、費用も1万円以内で済む簡単な資格であります。「食品衛生責任者」は食品衛生協会、「防火管理責任者」は消防署などで取得が可能です。

また経営者としてお店の経営に携わるわけですので、お金の動きなどをつける帳簿などの作業が必須です。確定申告など自分自身でやらなければならず、節税のやり方を知っておくために「簿記検定」などの知識は最低限知っておくといいでしょう。専門家に頼むと費用がかさむので自分である程度はできるようになっておくと得します。

ケーキ屋を開業するのに必要な届け出について

ケーキ屋を開業する場合必要な資格については上記で記載しましたが、実際に開業するにはどうすればいいでしょうか。

  • 保健所に行き営業許可をもらう
  • 税務署で開業届を提出する(法人の場合は法人設立届出書を提出)

取得した資格を手元に保健所に向かい営業許可をもらいに行きます。内装工事前に前もって保健所に伺っておき、許可内容に基づき店舗づくりをする必要があるため、事前に把握しておきましょう。

個人事業主として行う場合、一般的な手続きとして、個人事業の場合、個人事業の開廃業等届出書、所得税の棚卸資産の評価方法・減価償却資産償却方法の届出書、青色申告承認申請書等を納税地の所轄税務署へ提出します。また、個人事業開始申告書は事業所所在地の都道府県税事務所へ。詳しくは、最寄りの管轄行政に問い合わせが必要です。

法人として会社を設立する場合、定款作成、会社登記をし、法人設立届出書、青色申告の承認申請書、給与支払事務所等の開設届出書、源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書、法人設立届出書(地方税)などを提出します。

ケーキ屋はコンセプトが大事

大きなケーキケーキ屋さんは全国各地、都会から田舎まで幅広く展開されています。デパ地下やスーパー、コンビニに至るまでどこでも手軽に買えるので、ケーキ屋さんでケーキを買うにはそのケーキ屋さんのケーキを食べたいと思わせなくはなりません。

そのためにはお店独特の特徴を持つことが必要です。どこにでもあるようなケーキしかないのであればもっと安価なスーパーで買おうと思うのが普通です。ケーキ屋さんならではのケーキを置いておかなければわざわざ足を運んでもらうのは難しいでしょう。

例えば、カロリーを気にする人や健康を気にする人向けに低カロリーで体に良い素材を使用しているようなコンセプトがあると話題にもなり、口コミで広がっていく可能性もあります。自分が得意とする分野からコンセプトを考え伸ばしていきましょう。

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成功するための準備とは?

製菓学校などのスクールを卒業しているのであれば基礎知識は大丈夫ですが、未経験から開業を目指すのであれば、まずはなんとかどこかのケーキ屋さんに雇ってもらい、修行をするつもりで経験を積みましょう。慣れてきたら自分オリジナルのケーキを作る練習を始めます。できれば自宅でたくさんケーキを作って練習に練習を重ねてたくさんの人に試食をしてもらいましょう。

開業資金について

ケーキ屋を開業する際に必要な開業資金は、お店を構える地域、店舗の形態、また規模によっても変わってきますが、800万円~1,500万円程度が一般的な相場です。 開業資金の主な内訳は大きく3つに分かれます。

  • 物件取得費
  • 内装工事費
  • 店舗運営費

それぞれの資金について簡単に説明しますので、開業資金を調達する際の基礎知識として役立てて下さい。

物件取得費

物件取得費は、店舗物件を借りる、もしくは購入するために必要な費用です。 物件を借りる際には、「保証金」、「初回家賃」、「仲介手数料」を前もって支払わなければなりません。その他「礼金」が必要な場合もあります。

物件取得費は、1ヶ月分の家賃を基準にして算出するため、家賃が高額であるほど増えていきます。従って、ご自分のお店の1日に見込める売り上げ額を目安にし、毎月支払える家賃額であるかどうかも十分に検討してみることが大切です。そうすると、物件取得費にかかる費用も場合によっては節約が見込め、無理のない店舗経営が可能になります。 例えば、家賃が20万円の物件取得費は、260万円程度となります。

  • 保証金(敷金):家賃×6ヶ月~10ヶ月分
  • 初回家賃:家賃×1ヶ月分
  • 仲介手数料:家賃×1ヶ月分
  • 礼金:家賃×1ヶ月分(不要なケースもあります)

内装工事にかかる費用

内装工事にかかる費用は、「居抜き物件」、あるいは「スケルトン物件」どちらの物件を選ぶかで異なります。 内装工事費は、内装も設備も何もない状態で一から店舗を作り上げていく「スケルトン物件」に比べると、前店舗の内装や設備がそのまま残った状態の「居抜き物件」の方がいくらか安く抑えることができます。

但し、居抜き物件の場合は、前店舗の設備をそのまま譲り受けるための費用として「造作譲渡料」が必要なこともあるので、心得ておきましょう。 内装工事費は「店舗の坪数×坪単価」で算出されます。物件の坪単価は30万円~50万円が一般的で、20坪の内装工事にかかる費用は、500万円~1000万円程度が目安となります。

以下は、スケルトン物件の基本的な内装工事の内容ですが、居抜き物件の場合であっても、店舗の内装や設備状況によっては、必要になる工事もあります。
 

◇主な内装工事内容(スケルトンの場合)
  • 土間、左官工事
  • 電気、照明工事
  • 空調、ダクト工事
  • 水道設備工事
  • 厨房設備工事(調理台、オーブン、冷蔵庫など)
  • 造作工事
  • 内装仕上げ工事

ケーキ屋には欠かせない厨房設備、調理器具、冷蔵庫、冷蔵ショーケースなどを新品でそろえると200万円~500万円程度必要になります。 しかし、中古品を導入したり、出来るだけ安く購入できる業務用備品を取り扱うお店を探すなどすると、費用を抑えることも可能ですので、上手に利用してみると良いでしょう。

また、ケーキ屋は、店内の雰囲気がそのままお店全体の印象として定着することがあるため、内装工事も疎かにはできません。お店のコンセプトに合わせてデザインにこだわることも大切です。その他、店内にイートインスペースなどを設ける場合は、テーブルや椅子などが必要になり、その分費用もかかります。

店舗の運営にかかる費用

開店してすぐに、必ず集客が見込めることは言い切れません。そのため、お店が軌道に乗るまでは、オーナーご自身の生活費を含めた運営費を用意する必要があります。 毎月の家賃、人件費、仕入れ代金、水道光熱費、通信費は必ず支払わなければならない費用です。また、できるだけ多くの人にお店に来てもらうための宣伝広告費も重要です。チラシやポイントカードなども積極的に作り、集客を図る工夫をしましょう。

以下は、主な運営費目です。運営費を支払うことができなければ、当然お店は廃業せざるを得なくなってしまいます。従って、最低でも2~3ヶ月分くらいの運営費は確保しておくのが理想です。
 

◇主な運営費
  • 店舗家賃
  • 人件費
  • 仕入れ代金
  • 水道光熱費
  • 通信費
  • 宣伝広告費
  • 消耗品費
  • 保険料(建物保険・火災保険)
  • 雑費
  • 生活費

火災保険への加入は、不動産会社によって任意あるいは強制の場合と様々ですが、ケーキ屋も厨房では火を使うため、必ず入っておくべきです。店舗の火災保険料は「事業内容」と「延べ床面積」によって算出されます。保険会社や事業内容、補償の対象(設備や什器など)によって金額が異なり、毎月4万円~5万円程度支払うものが一般的です。

開業資金をどこから調達すればいいのか?

開業するにあたり、自己資金、いわゆる貯金だけで開業できればいいですが、なかなか日々の生活費なども考えると難しい所です。では自己資金以外でどこから調達すればいいのでしょうか?

日本政策金融公庫

日本政策金融公庫とは、2008年10月1日に、国民生活金融公庫、農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫、国際協力銀行の4つの金融機関が統合して発足した100%政府出資の政策金融機関です。全国に支店網があり、固定金利での融資や、長期の返済が可能など、民間の金融機関より有利な融資制度が多く、設立間もない法人やこれから事業を始めようとする人であっても、融資を受けやすいのが特徴です。

一般的な中小企業に関係する事業は、国民生活事業になり、国民生活事業は事業資金の融資がメイン業務で、融資先数は88万先にのぼり、1先あたりの平均融資残高は698万円と小口融資が主体です。融資先の約9割が従業者9人以下であり、約半数が個人企業です。サラリーマンには馴染みではないですが、理由として、銀行のように口座はなく、貸付のみだからになります。

創業者向け融資制度である「新創業融資制度」や認定支援機関の助言があれば無担保・無保証、金利が安価になる「中小企業経営力強化資金」という融資制度がお勧めです。

信用保証付の融資

「信用保証協会」という公的機関に保証人になってもらい、民間の金融機関から融資を受ける制度です。貸倒のリスクを信用保証協会が背負うので、実績のない創業者が民間金融機関から融資を受けることが可能となります。万が一返済が不可能になった場合は、信用保証協会が代わりに金融機関に返済し、その後債務者は、信用保証協会に借入金を返済することになります。信用保証協会は全国各地にあり、地域ごとに創業者向けの融資制度を設けています。また独自の融資制度を設けている自治体も多くあります。

手続きの手順としては、信用保証協会に保証の承諾を受け、金融機関から実際の融資を受けるという流れになります。また各自治体の制度を利用する場合は、自治体の窓口を経由することになります。

親族、友人・知人からの借入

親族・知人から借入をする際には、その人の好意でお金を借りることになります。先々トラブルにならないようにしっかりとした取り決めをおこなっておくことが重要です。いくら近い間柄とは言え、お金を貸す側の心理としては複雑なものです。また、後々トラブルになりやすい資金調達法でもあるため、甘えてしまわないよう入念な説明と借用書などを交わすなど、お互いが納得のいく取り決めをしっかりとしておきましょう。

その他注意点として、金額によっては贈与税を納めなくてはならないので、実施する場合は、贈与とみなされないよう書面(金銭消費貸借契約書)を作成したほうが良いでしょう。また、利息など契約内容も明確にし、返済は銀行口座を通じたり、領収書をもらうなどして、証拠を残したほうが良いでしょう。

まとめ


いかがでしたでしょうか?今回は、必要資格・届出、開業資金、資金調達方法など、ケーキ屋開業に必要なことを解説しました。

以前は女性客をターゲットとしたケーキ屋さんがほとんどでしたが、近年では男性客も急増しています。女性の多い場所に開店しなければいけないという固定概念は必要ないでしょう。逆に男性をターゲットとしたケーキ屋さんがあっても不思議ではないくらいです。

但し、立地によっては女性客がほとんどの場合もあります。開業する場所のケーキ屋さんをたびたび訪問して客層をしっかりと把握しておきましょう。年齢も重要です。団地が近くにある場合にはやはり主婦層をターゲットにするのが無難ですし、オフィス街では女性客と男性客の比率が場所によって違うので研究しておきます。デパ地下の場合でも銀座など女性が多い場所では女性中心になりますし、新橋などのサラリーマン街では男性客も大勢訪れます。入念に下調べをしておくことが大事になります。

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