飲食店における回転率と客席稼働率を高めて売上増加するポイントを解説
飲食店の売上を上げる構成として、3つの方法があり、「集客数を増やす」「客単価を上げる」「回転率を高める」です。
その中で、飲食店における回転率とは、1日当たりで何回お客様が入れ替わったのかを示す数字になります。同じ店の作りでも、この回転率2倍違うと単純に売上も2倍違ってきますので、売上アップを望むのであれば無視できない数字です。また、同じような指標でどれくらいの席効率で客席が使われているかを数値化した客席稼働率も併せて考えないといけません。
今回は、飲食店における回転率と客席稼働率を高めて売り上げを上げるポイントを解説します。
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飲食店における回転数と回転率の重要性について
回転率とは、文字通りお客さんが1日で何回転入れ替わったのかということです。当然、業態によってこの回転数の考え方は変わってきます。駅前の立ち食いそば屋さんなどの業種は滞在率も短く、単価も安いので、回転数を上げる必要があります。逆に高級フレンチなどの業態では、単価が高いので、回転数を上げるというよりも、お店の雰囲気であったり、メニュー・味を重視します。同じ飲食店でも業態・エリア・客単価・店舗の広さなどで回転数は違ってくるという事です。
飲食店は回転率が低いと、より多くの顧客に商品を提供することができなくなり、売り上げ効率が下がります。そこで料理の提供時間を短くしたり、居心地が良すぎるお店作りを避けるという方法で回転率を上げている店舗もあります。
また、提供する料理のジャンルによっても回転率は変わります。例えばうどん店なら食べればすぐに帰る顧客が多いため回転率は高まりますが、wifiが使える喫茶店など長時間滞在しやすい店舗の場合は回転率が下がってしまいます。1人当たりの単価が高ければ回転率が低くても儲けは出ますが、1人当たりの単価が低い場合は回転率を上げてより多くの顧客を来店させなければ売り上げはアップしません。
開業前にエリアの状況や自身が出店する業態によって、回転率をある程度見極めて出店しないと、事業計画の数字とずれてきて最悪のケースにといったこともあり得ますので必ず押さえましょう。
回転率の計算方法
回転率の基本的な求め方は、基本的には1日あたりの数値を求めることが多いですが、『顧客数÷席数=回転率』という計算になります。ある1日の顧客数が100人で席数が20席なら計算式は100÷20=5で回転率は「1日当たり5回転」と求めることができます。
回転率を高めるポイントとは?
売上に直結しますので、回転率は上げられるだけ上げておきたいものですよね。滞在時間が長いお客様がいらっしゃっても対応できるように、店内のレイアウトを考え、席数を確保したり、近隣の競合店舗と比較する事も重要です。
回転率を上げる方法
待ち時間短縮の徹底
前のお客様の退店から次のお客様をご案内するまでの時間を短縮することで、お客様は待ち時間が短くなり、お客様にも喜んでいただけ、回転率を上げることが出来ます。
待ち時間にメニューを渡し、注文までの時間を短くする。
並んでいる時間、席があくまでの時間などは退屈です。お待ちいただいている間にメニューをお渡しすることで、ご注文までの時間を短縮しお客様をお待たせすることもありません。すぐに入れそうなお客様のご注文は、先にオーダーだけ通しておけば、調理の準備等も進めることでき、調理時間も短縮できます。
提供時間の短縮
オーダーを取ってから料理提供までのスピードを縮めるのも大切です。滞在時間に合った客単価が打ち出せるようなメニューを考案するのもいい考え方です。
各業態毎、回転率を上げる方法
居酒屋・ダイニング、レストラン
居酒屋やダイニング、レストランなどは予約の集客やお客様の入りの時間が大体決まっており、それを「ピーク帯」と呼ばれています。週末などの繁忙日に関しては、このピーク帯の開始を早めて2回転目(二次会)のお客さんをいかに集客するかで売上がまるで違います。なので、週末の予約のお客様に時間を早めていただけるようなアナウンスやクーポンなどの特典で誘導することにより、お客さんにもお得ですしお店側も二次会のお客様を逃すことなく売上に繋げることができます。
他にも週末は時間制を取るなど(制限し過ぎることは著者はあまりおすすめしません)があります。逆に平日は集客自体がそこまでタイトにあるわけではないと思いますので、意識して欲しいのが、「時間帯ごとのターゲット」を意識することです。
上記のようにお客様を自店のコンセプトに沿った上で、時間帯ごとのターゲットを意識して「メニュー」「サービス」を提供してみると自ずと集客=回転率にもつながります。
カフェ・定食屋のランチ向け
このカテゴリーの飲食店は提供時間が命です。いかに早い提供をするかが大事なので、必ずメニューに関してのクオリティと提供時間のバランスをとるかを考えましょう。
他には全席禁煙にするなど色々ありますが、基本的にはスピード提供が一番のポイントだと思います。もともとランチの時間帯は会社員の方などは限られていますので、スピード提供によってお客様満足度も高められ、集客にもつながります。
小売・テイクアウト業態向け
こちらもランチと被りますが、「スピード提供」そしてオーダーや注文時の手間をいかに省きつつさばくかというポイントもあります。短時間で売り上げを伸ばすために注文や会計処理にかかる時間を短縮することを意識しましょう。また、分かりにくいメニューだと、お客様が注文を決めるまでに時間がかかってしまいますので、目に入る位置にわかりやすく大きなメニューを掲示することで注文待ちのお客様からも見えるようにしましょう。
会計時のトラブルやもたつきも時間のロスになり回転率に影響しますので、混雑時でもスムーズな会計ができるよう従業員の教育も徹底しておきましょう。現状のレジがアナログなものを使用していたら、ぜひタブレットPOSレジなどに切り替えることをおすすめします。
分かりやすい会計機能や注文時、オーダーの簡略化で人件費などコストの部分、そしてスピーディなレジ捌きも可能になりますので是非検討にしてみてください。
回転率ばかりに気を取られてはいけない!?
どちらのタイプのお店でも、単価・客数に見合った回転率は、売上目標を立てる際に欠かせない指標であり、利益を上げることにもつながります。しかし、ただ単に回転数を上げることだけを意識してしまう事は避けましょう。
あくまでも飲食店の売上は「集客×単価×回転率」です。回転率ばかり意識しすぎてしまうことで、単価の下落と集客数の減少という問題点が出てきます。お客様のニーズやターゲット層、エリアの状況、コンセプトなどに合わせて、店舗形態によっては回転率よりも客単価をあげる方がよいこともあります。
飲食店は外食産業といっても、さまざまな形態がありますので、自分の店が回転率重視にするべきか、客単価重視にするべきかは、顧客目線で考え、慎重に決めていきましょう。とにかくバランスが大事という事です。
客席稼働率とは?
回転率と同様に忘れてはならない飲食店の売上構成でのもう一つの数値が稼働率です。客席稼働率とは、飲食店の客席がどのくらい稼働しているかどうかを表す指標のことです。「テーブルが満席になった場合何%の席が使用されているか」という数値をパーセンテージで求めます。
客席稼働率をアップさせるには顧客が何人組で訪れるかを考えなくてはいけません。4人席のテーブルが多い店舗でカップルや2人組、1人だけで来店する顧客が多いとどうしても稼働率は下がってしまいますので、1人だけで来店する顧客が使用するカウンター席やカップル向けの2人席などを設置したほうが場所を有効活用しつつ、より多くの顧客に利用してもらうことができ、稼働率は上がります。
客席稼働率の計算方法
稼働率の基本的な計算方法は、満席時の来客数÷総客席数=客席稼働率となります。
満席時ではなくても埋まっている卓だけでの計算も可能です。
例を出してみると、4名席15卓がある居酒屋が2名5組、3名5組、4名5組で満席になったとしましょう。来客数が合計で45名になります。45÷60(全席数)=0.75この場合の客席稼働率は75%になります。
客席稼働率を上げるポイント
慣れない方にはちょっと難しい客席稼働率の考え方ですが、どのような所を意識して稼働率を上げていけるのでしょうか?
ターゲットを明確にして一致させる
例えば、広告ではカップル向けのお店をアピールしていているのに店内は4~6名の広めのテーブルばかりあったとしたらどうでしょうか?必然的に席稼働率も下がりそうですね。この場合、ターゲットに適した席の大きさに変更するか、設備上難しいようであればカップル向けから4~6名の少人数向けのコースやメニューなどを打ち出していくなどの方法もあります。
客席の工夫
主に開業時の話になりますが、オープンのテーブル席のテーブル同士をくっつけたり分けられたりできるようなレイアウトをとると稼働率をある程度操作できます。
例えば、基本的には2名がけのテーブル席で作っていた場合、上記のようなカップル向けのお店でも稼働率は上げられますし、大人数が来た場合もテーブルをくっつけてご案内することもできます。
席誘導の工夫
来店時にお客様の人数を確認し適正なテーブルにご案内するという事です。ただ、通りかかったスタッフがその都度ご案内していたらごちゃごちゃしてしまいますので、ある程度の大きさの店舗の場合、席の空き状況と稼働状況、また上の回転率のためにも来店時間や退店目安時間を把握して指示を出せる司令塔的な人物を1人付けても良いでしょう。
飲食店は競合店もたくさんありますので、どの店舗も工夫されています。例えば、宴会場があるお店では、ランチ後~夜早い時間まで顧客が入らないので、企業向けに座敷を会議室代わりに提供したり、うどん屋さんが無料で飲めるコーヒーを入り口付近において客席稼働率を上げたりしています。
まとめ
いかがでしたらしょうか?飲食店における回転率と稼働率につて解説しました。回転率と稼働率は売上にも大きく関わってきますが、日々、飲食店を営業していく上で店舗レイアウトや従業員教育などを行い、ちょっとした徹底で向上していくものです。
そしてなによりもバランスが大事です。あまりに回転率や稼働率を上げようとするあまり、顧客満足度を下げてしまっては意味がありません。顧客目線を第一に考え、回転率や稼働率を意識していきましょう。