飲食店で業務用食洗機を導入するメリットとは?使いこなすためのポイントを解説
業務用食洗機というとホテルや大型レストランにあるようなコンベア型のものをイメージしてしまいがちですが、現在は小型のものが普及し、小さな飲食店でも業務用食洗機を置いているお店を多く見かけます。
今回は、飲食店で業務用食洗機を導入するメリットや使いこなすためのポイントについて解説していきます。
業務用食洗機を導入するメリットとは?
業務用食洗機を導入するメリットは以下が挙げられます。
- ①時間の短縮
- ②殺菌性
- ③人件費の削減
- ④水道代の節約
- ⑤不要な食器を買わずに済む
- ⑥作業効率がアップ
それぞれについて説明していきます。
①時間の短縮
オーナーひとりだけ、または数人でまわしているお店では、調理やオーダー取り、配膳などに追われて洗い物は二の次。ランチタイムなどのピーク時は、シンクに汚れた食器がたまってしまうことも多いでしょう。しかし食洗機があれば、汚れた食器をどんどん入れてスイッチを押すだけ。大量の食器を時間をかけずに洗うことができ、食器が足りないという困った事態も起きません。
②殺菌性
手で洗う場合と違い、庫内に圧力をかけ80℃もの高温で洗い上げる関係で非常に高い滅菌効果があります。つい最近話題になったO157でも75℃で1分間加熱することで死滅します。食洗器の洗浄環境であれば十分に死滅させることが出来ます。
③人件費の削減
洗い物専属のアルバイトを時給1,000円で雇い、1日6時間、月に20日働いてもらうとします。すると、かかる人件費はひと月に1,000円×6時間×20日=120,000円。年間140万円以上の人件費がかかる計算ですが、食洗機の導入によってこれが丸ごとカットされます。
④水道代の節約
食洗機は短時間で大量の食器をまとめて洗うことができます。さらに、機内で水を循環させて食器を洗うため、水道料金を大幅に節約できます。手洗いで食器を洗った場合、使用する水の量は1回20ℓほど。対して、食洗機の水道使用量はなんとたったの2ℓ。10分の1の節約になります。
⑤不要な食器を買わずに済む
洗い物が追いつかないと、あたらしく来店したお客さまに料理を提供できません。すると、食器を不必要に多く購入することになり、コストがかかります。収納場所にも困りますが、食洗機があれば、この問題もたちまち解決。短時間でたくさんの食器を洗浄・乾燥できるので回転がよくなり、少ない食器でやりくりができるようになります。
⑥作業効率がアップ
業務用食洗機が洗浄のために要する時間は約1分程度です。 ラックに食器を並べて蓋を閉めれば、すぐに別の作業に取りかかれます。洗い終わると、蓋を開けておけばお皿は自然乾燥で乾きます。手洗いでスポンジを泡立てて、濯いで、水切りをして、クリーンダスターで拭くという作業を考えると信じられないほど効率がアップします。
業務用食洗機のタイプ
食洗機には、大きく分けて「ドアタイプ」「アンダーカウンタータイプ」「シャッタータイプ」の3種類があります。それぞれの特徴について説明します。
ドアタイプ
大型店に多く導入されています。特長は、洗浄力が非常に高いことと、ドアが大きく開くため大皿を洗うのが得意なこと。そのため、油汚れの多い中華料理店やイタリアンをはじめ、コース料理などで食器を使う枚数が多いお店におすすめです。
よりコンパクトなサイズの「小型ドアタイプ」もあります。こちらは設置場所や作業動線に合わせて、正面、右、左、左右両方からドアが開く方向を選べます。ドアタイプよりも場所を取らないため、小中規模のお店に人気です。
アンダーカウンタータイプ
業務用食洗機ではもっとも小型のタイプです。高さは800㎜ほどで、シンクなどと高さをそろえやすいという特長があります。天板に水切りがついた機種が多く、カウンターの下にも設置できるため、場所を取りません。小さな規模のお店におすすめです。ただし、使うときは中腰でラックを出し入れする必要があり、少しだけ労力が必要です。
シャッタータイプ
こちらも、小さなお店におすすめのコンパクトタイプです。上部から食器を出し入れするしくみで、見た目は洗濯機に似ています。アンダーカウンタータイプのようにラックの位置が低くないため、中腰になる必要はありません。しかしドアの位置は低くなるため、あまり大きな食器は洗えないということに注意しましょう。
業務用食洗機を使う上でのポイントとは?
洗い場の導線を確保する
お店で業務用食洗機を導入する場合は作業効率を考えると、シンクで食器を下洗い ラックに食器を立ててスライドさせ、洗浄、ラックを引き出して自然乾燥というサイクルが成り立つような洗い場の導線の確保が必須です。
この洗い場の導線がうまく機能しないと、洗浄から収納の間でもたついてしまい、シンクに洗い物が溜まってしまいます。店舗の規模や回転率に応じて、ラックごとに食器を自然乾燥できるスペースを確保しておかなければ、繁忙時になればなるほど、洗い場からスタッフが離れられなくなってしまいます。
置き方
置くだけで洗ってくれるのが食洗機のメリットですが、置き方には気をつける必要があります。置き方が悪いと食器の中に水や洗剤が溜まったままになってしまいます。そういった事態を防ぐためにも、以下のポイントを守るようにしましょう。
- グラスやカップは下向きにする
- お皿は重なるところがないように置く
- お箸は下向き、フォークやスプーンは上向きにセットする
- 完全に下向き、完全に上向きでなく少し斜めにする
温度管理
業務用食洗機を使用する際のお湯は、洗浄とすすぎでそれぞれ適切な温度が異なります。一般的に洗浄の湯温は60℃、すすぎの湯温は80℃が適していると言われており、これらを下回らないようにしましょう。
お店の設備によっては給湯器の増設が必要な場合などもありますが、上記温度を下回ってしまうとせっかく洗っても雑菌が繁殖しやすくなってしまうため本末転倒です。業務用食洗機を導入するのであれば、上記の最低温度は厳守するように気をつけて下さい。
洗剤選び
業務用食洗機を使うと洗剤の使用量がグッと増えます。多くのメーカーからいろいろな種類の洗剤が発売されていますが、それらは「劇物」と「非劇物」に分類されます。劇物と聞くとびっくりしてしまいますが、これはアルカリ濃度の違いなどで分けられており、海外で使われている洗剤の多くは劇物に当てはまることからも、劇物の洗剤=危険というわけではありません。汚れの落ちやすさで言えば、アルカリ濃度が高い方が汚れ落ちはよくなります。ただ、劇物指定のものを扱う場合は保健所への届け出が必要であったり、ストックする場合には危険物取扱者の資格が必要だったりするため、非劇物の洗剤のほうが扱いやすいかもしれません。
また、業務用洗浄機を利用する上でのリスクとして食器への洗剤の残留が挙げられます。汚れ落ちが悪いと洗剤の濃度を上げることを勧める業者が多いですが、洗剤の残留についてはあまり確認していないところがほとんどです。洗剤の残留量はフェノールという液体を使えば簡単にわかるため、洗剤選びは慎重に行うようにしましょう。
業務用食洗機の購入方法について
業務用食洗機を導入する際、一括購入、ローン、リースという3つの支払い方法があります。 店舗の設備投資をするにあたって業務用食洗機をはじめとする厨房機器は高額なのでどの方法で購入するかは悩ましい所です。
一括購入
一括購入のメリットは長期的に見ると安くなります。ローンやリースに比べて、利子などを支払わなくてすみます。一方、デメリットは多額の資金が必要になります。業務用食洗機は1台100万円以上するので、手元に資金がない場合は、ローンやリースを活用する必要が出てきます。
- ホシザキ
- マルゼン
- パナソニック
- 厨房センター
- テンポスドットコム
ローン
一括購入できる現金が無い場合、ローンを組む方法が考えられます。メリットは、初期資金を別の投資に回すことができる点です。自己資金がなくても、銀行や日本政策金融公庫から借り入れることはできます。しっかりした事業計画を書いて、創業時に利用できるローンを活用しましょう。
一方、デメリットは開業資金を限度額いっぱい借り入れていたり、支払いが遅れがちであると、ローンを組めないことがあります。またローンは銀行からの融資枠を狭めてしまうことにもなります。
リース
リースとは、毎月飲食店がリース料を支払うことで、リース会社が所有している機械を貸し出してくれることです。リースのメリットは銀行からの融資枠を使わずに資金を調達できることです。 また、リースの場合の所有権はリース会社にありますので、固定資産税の対象にならず、節税できるというメリットもあります。
デメリットは利子が一括購入やローンより高額で、トータルの支払いが増える点です。 また、リース契約は途中で解約することができません。万一、お店を閉めるときにリース残債が残っている場合、月々のリース料は支払い続けなければならないこともあり得ます。流行や使用する期間を考え、リースの契約期間は短めに設定する方がいいいかもしれません。
- 厨房屋
- テンポスホールディングス
まとめ
いかがでしたでしょうか?今回は、飲食店の業務用食洗機を導入するメリットや使いこなすためのポイントについて解説しました。
業務用食洗機の導入によって食器洗いをしなくてよくなると、今まで食器洗いに使っていたアルバイトを他の業務に回したり、洗浄時間を短縮できたりと、業務の大幅効率UPが見込むことができます。ただし、お店で使用している食器によっては食洗機の使用が不可のものもあるので事前に確認しておくことが肝心です。
そして新品で購入する場合は、最新型製品が手に入り、メーカー保障がつきます。 中古で購入する場合は、価格を安く抑えることができます。 リースする場合は、税金の申告が不要であるとともに、銀行からの融資枠を減らさずにすみます。このように業務用食洗機の購入、中古、リースはそれぞれメリットがあります。是非、あなたの状況とお店の規模にに合った業務用食洗機の導入を考えて、お店の作業効率をアップさせましょう。