外国人雇用でもらえる助成金をご紹介
飲食店は他に比べて外国人の雇用が多い業種です。国や地方自治体から外国人雇用に対しての補助も充実していますので、これを使わない手はありません。
そこで今回は、外国人人材雇用でもらえる助成金をご紹介します。
そもそも助成金とは?
助成金とは、一般的に厚生労働省所管で取扱っている給付金のことを助成金と呼び、給付の条件を満たしていれば誰でも貰うことができ、融資などとは違って、返済の必要がありません。基本的には従業員を雇用する上で社会保険に加入していることが条件となっています。種類としては約50種類ほどもあり、現在の自社の状況をみて、該当するものを申請していくことで、給付を受けられます。
一般的に、補助金は条件に当てはまったものを申請し、採択された方(事業)だけもらえる資金「難易度が高い」「もらえる金額が大きい」のに対し、助成金は条件をクリアすれば必ずもらえる資金「難易度が低い」「もらえる金額が少額」になります。
外国人の雇用には「資格」が必要になってくる
外国人の方を雇用する際は、その方が日本で働くことができる在留資格があるかどうか、所持している在留カードで確認することが必要です。
- 定住者:法務大臣が特別な理由を考慮し、5年を超えない範囲で一定の在留期間を指定して居住を認める人(日系人など)
- 永住者:在留期間の制限なく永住できる人
- 日本人の配偶者等:日本人と結婚した人・子・特別養子
- 永住者の配偶者等:永住権をもった人の配偶者
- 留学:留学の滞在資格を取得して在留している人
- 家族滞在:就労ビザを取得して日本で働いている人の配偶者・子
- 特定活動:他の在留資格に該当しない活動の受け皿として、法務大臣が活動を指定する在留資格
- 技能:特殊な分野に属する熟練した技能に従事する活動
- 特定技能
在留資格が「定住者」「永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」の4資格は、就労の職種の制限はありません。また外国人労働者をアルバイトで採用する場合と正社員として採用する場合で条件が異なってきますので注意が必要です。
外国人人材雇用でもらえる助成金
要件を満たせば外国人雇用にも利用できる可能性のある助成金がいくつかあります。今回は6つご紹介します。
中小企業緊急雇用安定助成金
休業・教育訓練または出向を行った事業主に対して、休業手当、賃金または出向労働者にかかる賃金負担額の一部を助成するものです。支給要件は「最近3か月の生産量がその直前3か月又は前年同期 比で減少していること」「前期決算等の経常利益が赤字であること」。休業、教育訓練、出向手当等の5分の4と、教育訓練経費として1人1日 6,000円が加算されます。
雇用調整助成金
雇用調整助成金とは、景気の波があって事業を縮小せざるを得ないときにその影響を最小限に抑えるための助成金です。しかし景気の変動に合わせて人材を再稼働させたくなることもあります。休業させた従業員は外国人を含めて休業手当を払う必要が出てきますが、雇用助成金を申請することで中小企業の場合には、国から休業手当の3分の2を支給してもらえます。
トライアル雇用助成金
トライアル雇用助成金は、要件を満たせば1人当たり最大5万円を3カ月間給してもらえる(35才未満の対象者の場合)助成金です。対象とされている求職者を、ハローワークをはじめとする職業紹介事業者を介して一定期間試験雇用した場合に受給できます。求職者は企業環境や仕事内容を把握でき、企業側が該当の求職者が自社に適しているかを判断できる試用雇用を、より容易に行えるようにすることを目的としています。日本人だけではなく、外国人にも適用されますので、外国人を試験雇用する際に利用できるか確認しましょう。
人材開発支援助成金
人材開発支援助成金とは、雇用保険の被保険者の雇用を対象とした助成金です。助成金を支給することで、企業が従業員の人材育成やスキル向上により注力できるようにすることを目的としています。2016年度以前までは「キャリア形成促進助成金」という名称でしたが、助成金の金額なども調整され、より利用しやすくなっています。
この助成金では、研修費用や研修期間中の賃金の一部を受け取ることができます。こちらの助成金は日本人・外国人労働者のどちらも同じ条件で適用されます。雇用保険の被保険者を対象としているため、基本的には長期間かつ週20時間以上の労働が認められる者すべてが対象となります。人材開発支援助成金には「特定訓練コース」「一般訓練コース」「キャリア形成支援制度導入コース」「職業能力検定制度導入コース」の4つのコースがあり、それぞれ受給できる助成金額や対象企業が異なります。各コースで受給できる金額や対象企業などの詳しい内容については、以下の厚生労働省の資料を参考にしてください。
(参考) 厚生労働省HP
特定求職者雇用開発助成金
ハローワークや職業紹介事業所などの紹介で、特定の条件に当てはまる求職者を雇用した際に、支給される助成金です。「障害者初回雇用コース」「特定就職困難者コース」「生涯現役コース」など、さまざまなコースがあります。例えば、障害者初回雇用コースでは、障害者の法定雇用数を達成するために、初めて障害者を雇用した中小企業が受給できます。
キャリアアップ助成金
キャリアアップ助成金は、有期契約労働者や短時間労働者などの雇用を対象とした助成金で、非正規雇用から正規雇用への転換を主な目的としています。そのため、人材開発支援助成金は雇用保険の被保険者であれば正規雇用労働者であっても対象であったことに対し、キャリアアップ助成金は正規雇用労働者以外の雇用が対象となります。こちらの助成金も、日本人・外国人労働者のどちらも同じ条件で適用されます。
助成金以外で支援してくれる制度
助成金以外でも、外国人採用に関して支援してもらえる制度はいくつかあります。代表的なのが、公益財団法人国際研修協力機構(JITCO) による支援です、公益財団法人国際研修協力機構では外国人の雇用に対して以下の支援制度を設けています。
- 外国人実習生や研究生の受け入れについての相談
- 右傾入れ企業の安全衛生や健康管理などに関する相談、情報提供など
- 外国人実習生や研修生の帰国旅費の立替制度、死亡弔慰金制度
- 日本語教育の集合研修の資金支援
助成金のように資金を支援してもらえる制度だけではなく、相談などで支援している制度もあります。もちろん、資金についての支援もありますが、一定の条件が必要なため、制度を利用する場合は条件をよく確認しておく必要があるでしょう。
助成金を得る為には専門家の力が必要!?
助成金を活用するためには、助成金の専門家である社労士(社会保険労務士)に依頼する必要があります。もちろん、社労士(社会保険労務士)に依頼せずとも、正確に活用できるならば問題ないでしょう。しかし現実的には、社労士(社会保険労務士)の手を借りずして助成金をスムーズに受給するのは困難です。社労士に協力を依頼すると、助成金の受給要件を満たすために必要な手続きを正確に進めることができ「手違い・勘違い」などによる失敗がなくなります。
ちなみに、社労士(社会保険労務士)は、その中のヒトに関するエキスパートです。労働・社会保険に関する法律、および人事・労務管理の専門家として、採用から退職に至るまでの労働・社会保険に関するさまざまな問題や年金などの相談に応じてくれる、中小企業にとっては頼もしい存在です。
まとめ
今回は、外国人を採用した際にもらえる助成金について解説・紹介しました。
少子高齢化社会により日本人労働者はどんどん減ってきている状況にあります。そういった背景から、外国人労働者の採用ニーズはますます高まっているといえるでしょう。労働意欲の高い外国人労働者は、今後の日本を支えてくれる頼もしい存在として活躍が期待されています。日本の企業側としても、様々なメリットのある外国人労働者を積極的に採用していきたいところです。その際、助成金制度のサポートは企業にとって大きな力になるでしょう。