オープニングスタッフ募集や採用面接の注意事項について解説
物件契約・店舗作りが進んできたら、オープニングスタッフ募集、採用面接、オープンに向けたトレーニングを行います。自分のお店にあった人材を採用し、できる限りスムーズにオープニングを迎えられるよう、スタッフを巻き込んで店舗オペレーションの確認やトレーニングをしていきましょう。
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オープニングスタッフを募集するときのポイント
オープニングスタッフを募集する際には、まずはどのような人材を何名募集するかを決定します。経験の有無、必要とするスキル、年齢、性別などからスタッフ像をある程度固めておかないと、採用してからミスマッチが起こって結果的に時間とお金の無駄になってしまうことがあります。人数は必要最小限ではなく、開店する前に辞めていく人もいることを想定し、多めに採用するほうがいいでしょう。なぜなら、オープン初日にスタッフが足りず、それが原因で売上に影響したなどという失敗は許されないからです。
そして雇用形態も正社員かアルバイトかを決めておきます。店長候補や料理長候補など、店舗運営にかかわる業務を担当するスタッフは正社員として、調理補助やホールでの接客を担当するスタッフはアルバイト従業員として募集するのが一般的です。正社員は、雇用期間の定めがない「無期雇用」が原則となります。賃金は基本給+手当(残業手当や住宅手当など)、年2回の賞与、年1回の昇給、有給休暇、交通費、退職金を支給する必要があります。アルバイトは雇用期間を定める「有期雇用」が原則で、必要な時間帯・曜日だけ時給制で働いてもらうことができます。
採用方法(求人広告)にはどんな方法があるのか?
採用する職種や人数が決まったら、求人広告を出します。求人媒体は数多くあり、それぞれ取り扱う職種や地域、雇用形態などが異なりますので、自分が求めるオープニングスタッフによって使い分ける必要があります。
インターネットの求人サイト
若年層をターゲットとする求人広告は、web媒体を利用する方法が主流になっています。webサイトは採用条件のほかに、店内の雰囲気(オープン前で未完成の場合はイメージ画像)や店主の写真を掲載するなど多くの情報を盛り込めるので、求職者もどのような職場かを想像しやすくなります。利用料金は掲載期間や原稿サイズによって異なり、正社員募集の場合は4週間掲載で20万円前後、アルバイトの場合は1週間掲載で2万円前後が相場のようです。
新聞・求人情報誌
Web媒体に対して紙媒体を用いた求人方法です。紙媒体の求人広告には新聞や情報誌のほか、折り込みチラシや駅などに置かれているフリーペーパーなどがあります。いずれもその地域ごとのエリア版を発行していることが多く、地域密着型の広告が特徴といえます。近場の学生や主婦、中高年層を募集したいときに適しています。利用料金は、エリアや原稿サイズによって金額が設定されており、首都圏では2万円前後~100万円前後とかなり幅があります。
人材紹介所
人材紹介会社に登録している求職者の中から、店舗で希望する人材を紹介してもらう「転職エージェント」というシステムを用いた方法です。専任のキャリアコンサルタントが候補者の選定から面接の日時、条件交渉まですべて代行してくれます。店長候補や料理長候補など幹部クラスの人材を雇用したいときに適しています。料金は成果報酬型が一般的で、採用が決定した時点で紹介料が発生します。金額は採用した人の年収の20~30%が相場のようです。万が一採用した人が短期間で辞めてしまった場合は、紹介料が返還されることになっています。
ハローワークインターネットサービス
ハローワークが運営するwebサイトを利用する方法です。事業所(店舗)の住所を、管轄するハローワークで「求人申込書」と「事業所登録シート」に必要事項を記載して提出すると、求人情報提供端末で公開されます。応募者が出た場合、ハローワークが事業所と応募者の間に立って面接日などを調整し、本人に当日持参するための「紹介状」を渡してくれます。料金は無料で、条件によっては助成金が支給される場合もあります。
採用面接時の注意事項
お店のオープン前の雰囲気を大切に
オープニングスタッフの人員を募集し、応募がきたら採用面接へと進みます。
お店開業前の忙しい中でも、応募者がリラックスして面接に臨めるような空気感を作ることが大切です。オープニングスタッフの面接は、お店がまだ工事中でケースもありますが、事務所内で行ったり、使用前で新しい厨房の中で行ったり、面接場所も、「オープン前」の雰囲気を味わえることも特徴の一つです。「これから始まるぞ」という雰囲気を作り、一からお店の運営に携わることが出来ると思わせることが出来れば、やる気も出てくるでしょう。
お店のコンセプトや理念を伝えましょう
仕事内容や給料などの待遇面を説明することは当然ですが、まずは「どんな経緯でお店を作ることにしたのか」「地域の人々が笑って過ごせる場所にしたい」「お店のコンセプトはこうだ」など、お店を作った経緯やコンセプトなどを相手に伝えましょう。お店のことやあなた自身のことを伝えることが大切です。
そして、その人の表情、態度、受け答え方をみて、今後この人と働きたいと思える人を採用していきましょう。採用面接時間は厳守
約束の面接時間に遅れないかどうかが一つの指標になります。交通機関の遅延などでどうしても遅れてしまう場合、事前に連絡を入れるかどうかも判断基準になります。
面接時間にルーズな人は、シフトの時間も守らない可能性があります。
店舗オープンに向けたトレーニングについて
トレーニングの全般
無事オープニングスタッフを採用できたら、オープンに向けた研修を行います。オープンの約2週間前くらいからトレーニングをスタートさせると良いでしょう。
接客の仕方やキッチンメニューの盛り付けなどだけではなく、出来れば担当と違う仕事(清掃、ビラ配りなど)を行ってもらうこともよいかと思います。こうした雑用が意外とコミュニケーションの場となり、色々なアイデアが出てくる可能性もあります。そして、食材、食器、調理器具の位置など、このときスタッフと相談しながら決めるとオープン後に迷わなくてすみます。
キッチンスタッフ
キッチンスタッフは味や盛り付けが一定になるようトレーニングしましょう。作り方や味が毎回違うといけませんので、提供メニューの試作を繰り返し行いましょう。繰り返し行うことは、仕入れをした食材が減ることを意味しているので、オープニング前の仕入は余裕をもっておくことも重要です。
- 料理の提供時間 (作業時間)
- 料理の品質(味・見た目)
- 作業の安全性
- 衛生管理 など
その他、厨房内の清掃やゴミ出し、食材の賞味期限チェックなど、衛生管理や食中毒防止のための業務も、しっかりとオペレーションに組み込んでおくようにしましょう。
ホールスタッフ
ホールスタッフはレジ、席の番号、メニューを覚えたり、サーブの仕方などを学んでいただきます。接客のオペレーションにおいて、特に注意すべき点は以下の通りです。
- 服装・身だしなみ
- 挨拶・笑顔
- 注文の受け方、確認の取り方、厨房への伝え方(ハンディの使い方)
- 配膳の仕方、片付け方
- 話し方、言葉使い、声の大きさ
- 会計時のレジ操作、対応の仕方
- クレーム発生時の対応
そして、オープン前のレセプションで各自の役割をチェックし、気になったところはオープンまでに修正できるよう指摘しましょう。
まとめ
スタッフ募集してから採用、トレーニングまで短期間で行うので、事前準備が必要です。開業時に万全の状態で臨めるよう、予めマニュアルなどを作成しておきましょう。