飲食店などの物件探しをする時に目にする「造作譲渡料」とは?
「造作譲渡料」という言葉をご存知でしょうか?初めてお店を開店させる人には、見たことも聞いたこともない言葉ですよね。これは居抜き物件を借りるときに重要になる費用です。
そこで今回は、造作譲渡料について解説していきます。
造作譲渡料とは?
造作譲渡料とは、居抜き物件の残された設備を使用するために前オーナーから買い取ることを言います。お店を借りたとき、本来は原状回復させて明け渡さなくてはいけないのですが、移転ではなく廃業するなら、冷蔵庫や調理器具、お店の椅子やテーブルなどをすべて撤去して破棄しなくてはいけません。まだまだ使えるものだとすると、捨ててしまうのはもったいない所です。できれば次のオーナーに買い取ってもらえれば、まとまったお金を手にすることができます。新しいオーナーも、開店資金は限られていますので、新規で買い揃えるよりも前のオーナーから格安で譲ってもらったほうがウィンウィンになります。そんな両者の思惑によって成立しているのが造作譲渡料です。旧オーナーはスケルトン工事の費用を浮かすことができ、なおかつ設備の売却益が入ります。新オーナーは予定よりも安く設備を揃えることができます。
造作譲渡料に含まれるものと含まれないもの
多くの場合、造作譲渡料は「一式」として見積られます。この一式には、内装・エアコン・トイレ・厨房器具等の設備全般が含まれます。一方で、含まれないものもあります。退居予定者の所有物ではない、リースの冷蔵庫などが挙げられます。リース物件は一見してもわからないため、交渉時に必ず確認が必要です。
また、テーブルや椅子などの家具、鍋やフライパンなどの調理器具、お皿やカップなどの食器、レジ、スピーカーなど音響設備は含まれないことが多く、1つ1つの確認が必要になります。
造作譲渡料はどのようにして決まるのか?
それでは造作譲渡料はどのようにして決まるのでしょうか。設備の価値で決まると思う人もいるかもしれませんが、実際には物件の立地など、その物件にどれくらいの価値があるのかで決まります。 いくら高価な設備が揃っていても、立地が悪いと次のオーナーがなかなか見つかりません。そういう立地の場合は、造作譲渡料を低くして魅力ある物件であることをアピールします。黙っていても次のオーナーが決まる駅前の一等地であれば、造作譲渡料が多少高くてもすぐに次のオーナーが決まります。 設備の価格はもちろん影響しますが、それ以上に物件にどれくらいの価値があるのか、しっかり稼げる物件なのかということが造作譲渡料に大きな影響を与えます。
造作譲渡を安くする為にはどうすればよいのか?
店舗物件の場合、貸主との契約によって変わってきますが、基本的なケースとして解約する3~6ヶ月前に貸主に伝えなければいけないです。このときはまだ造作譲渡料は高く設定されています。ところが明け渡し日が近づくにつれて、造作譲渡料は徐々に下がっていきます。内装や設備を譲渡してほしいという人が現れなければ、原状回復のためのスケルトン工事をしなくてはいけないためです。0円で譲ったとしても、スケルトン工事費が浮きますので、無償譲渡であっても旧オーナーにはメリットがあります。
このため、造作譲渡料を少しでも安くするには、引き渡し日に近ければ近いほどいいとされています。スケルトン工事を依頼するのが解約日の1ヶ月前くらいになりますので、その直前に交渉すると0円にしてもらえることもあります。ただし、ギリギリを狙ってしまうと他の人が先に契約をしてしまうかもしれません。造作譲渡料を下げることばかり考えていると、優良物件を逃してしまうかもしれませんので、気をつけてください。
造作譲渡料の交渉のポイントとは?
退居予定者の提示額が、妥当ではないと感じられる場合、大抵は値引きの交渉が可能です。退居予定日までに次の入居者が決まらなかった場合、退居予定者はスケルトンへの原状回復工事をしなければなりません。そのため、適切な交渉を行えば、多少金額を落とせる可能性もあります。ただし、物件の立地が良く、視認性も良い場合などは、ライバルが現れることも容易に考えられます。競争率の高そうな物件の場合は、あまり粘った交渉をせず、相手の条件をすんなりと飲むことも必要です。
飲食店の出店サイクルが速くなった近年も、造作譲渡の値段はあまり変化していません。しかし最近の傾向としては、スケルトン物件よりも居抜き物件のほうが良い立地であることが多く、また流通して間もない物件も多くみられます。居抜き物件は出店者にとって大きな選択肢となるので、気に入った物件があれば、うまく交渉して確保したいものです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?今回は、造作譲渡料について解説しました。
上記でご紹介した通り、解約日が近づくに連れて造作譲渡料は安くなりますが、あまり粘りすぎると、他の人にその物件を取られてしまう可能性があります。お互いがなっとくできる落とし所を見つけ出すつもりで、交渉を行ってください。また、居抜き物件を返すときの原状回復はどこまで行わなければいけないのか。借りる前に貸主ときちんと話し合っておきましょう。