飲食店経営者や飲食店経営検討者が知っておきたい経費について解説
飲食店を経営している、あるいはこれから経営をしようと考えている人は、経費について正しく理解していますでしょうか?どのようなものが経費に含まれ、何が含まれないかを知っているだけで、確定申告のときの節税などにつながります。
そこで今回は、飲食店の経費について解説していきます。
飲食店で発生する「経費」とは?
よく勘違いされるのが、領収書さえあれば経費として認めてもらえるとお考えの方もいらっしゃるかと思いますが、経費とは、店舗の経営や売上のために必要となる仕入や原価以外の費用のことを指しています。経費は課税対象である事業の売上から差し引かれるため、漏れなくきっちり計上することで、所得税の負担額を抑えることができます。
経費の判断基準となるのは、「仕事に関係があるかどうか、事業の役に立つか」です。原則的には、仕事と関わりのある費用は、すべて経費に計上することができることになります。ただ一概には判断のつかない内容やグレーな部分も多々あるため、計上には細心の注意を払わなければなりません。しかし中には意外と思われる費用が、経費に計上できることもあるので、見落とすことなく、きちんと計上できるようにしましょう。
経費の管理はなぜ必要なのか?
経費を管理する目的は節税です。事業にかかった経費は、年に1度の確定申告の際にまとめて税務署に提出します。確定申告とは、支払う税金を確定させる手続きのことで、1月から12月までの売上とそれにかかった経費を算出し、税務署に届け出をすることで確定します。
事業者が支払う税金の金額は、「売上-経費および各控除」で決定します。そのため、経費を漏れなく申請することにより支払う税金を適切に減らせるため、節税効果になるのです。確定申告に経費を漏れなく記載するには、日々の経費の管理が必須です。そのために、経費の記録や保管などはしっかりと行わなければなりません。
飲食店の「経営」にかかる必要経費とは?
開業した後、飲食店を経営していくのに必要な経費には、主に「飲食サービスにまつわる経費」「人についての経費」「不動産に関する経費」に分けることが出来ます。それぞれについてご紹介します。
飲食サービスにまつわる経費
仕入れ
食材や販売用として仕入れた商品の代金などの費用。
水光熱費
電気・ガス・水道料金。
燃料費
テーブルコンロのガスや七輪用の炭などの費用。
サービス費
有線放送やケーブルTV代、テーブルのお花やおしぼり代などの費用。
衛生費
クリーニング代、洗剤や殺虫剤購入費など衛生上必要とおもわれるものの費用。
消耗費
割りばしやペーパータオル、包装紙や紙袋などサービスと共になくなるものの費用。
広告宣伝費
ホームページ製作費、チラシやショップカード製作費、グルメサイト掲載費などの費用。
荷造運賃
商品を通販する際の段ボール箱代や運送会社への運送費などの費用。
接待交際費
顧客や仕入れ先など飲食店経営に関わる人に対する接待、慰安、贈答のために支出する費用。
通信費
店の固定電話や携帯電話の料金、インターネットに関する費用。
クレジットカード手数料
クレジットカード決済の際の手数料。
人についての経費
給料賃金
従業員への給料、ボーナス、退職金などの費用。
従業員交通費
従業員が通勤の為に支出する交通費。
旅費交通費
仕入れや店の用事を済ませるために使用する電車、バス、タクシーの運賃や、自動車による移動に有料道路を使用した時の料金。
福利厚生費
事業主の負担する健康保険・労災保険・雇用保険、慰安行事など。
不動産に関する経費
地代家賃
お店を開くために借りた土地なら地代、建物なら賃料。
修繕費
店舗や厨房機器など、店の資産を維持・修理するために支出する費用。
損害保険料
店舗や厨房機器、備品にかける火災保険や地震保険、飲食店経営による事故を補償する賠償責任保険、店の自動車にかける自動車保険などの損害保険料。
減価償却費
厨房機器や高額な内装費を一定の期間に分けて経費として計上。
その他、借入れた事業資金の支払い利息や租税公課(固定資産税、事業税、印紙税など)などのお金に関する経費もあります。また少額かつ他のどの勘定科目にもあてはまらないものも必ず出てきます。そんな時は「雑費」という項目を設けてひとくくりにしておきましょう。
まとめ
飲食店で経費となるものについて紹介しました。実際に経営をしていく中では、どれにも当てはまらない費用が必要になるケースもあるでしょう。経費として扱えるのか、どの勘定科目にすればいいのか悩むかもしれません。そんなときに役立つのが、経理や税務のプロである税理士などの専門家です。開業に向けた準備で困ることがあれば、ぜひ専門家を頼ってみましょう。