【飲食店開業】日本酒の基礎知識や日本酒の仕入先を選ぶときのポイントについて解説
これから飲食店を開業する方の中には、日本酒を取り入れたいと考えている方もいらっしゃるでしょう。
今回は、日本酒の基礎知識や日本酒の仕入先を選ぶときのポイントについて解説していきます。
日本酒の種類について
日本酒は、原料や製造方法などの違いにより、「大吟醸酒」や「本醸造酒」といった具合に9つに分類されます。その分類のポイントは、醸造アルコールを使用しているかどうか、そして使用する米をどれだけ削っているかの2点です。
種類を把握できていれば、ある程度の味は判断できます。しかし大別はできたとしても、実際の味わいは飲んでみなくてはわかりません。ゲストへ正確なアドバイスをしたいのであれば、営業終了後に試飲勉強会を開く、または実際に飲んだことがある人の意見を知識として蓄えておくことが大切になります。
醸造用アルコールを加えたもの
普通酒
特定名称酒に含まれない日本酒はすべて普通酒。酒税法の特定名称酒の条件を満たさないだけで、普通酒もおいしい酒は多いです。(特定名称酒とは「吟醸酒」「純米酒」「本醸造酒」のこと。原料や製造方法により、さらに8種類に分類されます)
本醸造酒
原料は米、米麹、水、醸造用アルコール。精米歩合は70%以下で、本造り、本仕込みともいいます。飲み飽きしないのが特徴で、日本酒のスタンダードといってもよい酒です。
特別本醸造酒
本醸造と同じく、原料は米、米麹、水、醸造用アルコール。精米歩合が60%以下と本醸造酒よりも高いです。米を磨いて、特別な製造方法で丁寧に造られています。
吟醸酒
原料は米、米麹、水、醸造用アルコール。精米歩合は60%以下で、低温でじっくりと時間をかけて発酵させる吟醸造りの酒。吟醸香というフルーティな香りが特徴です。
大吟醸酒
吟醸酒と同じ原料で、精米歩合が50%以下。酒米を磨きに磨き、吟醸造りをさらに徹底させて醸しだします。香り高く、すっきりとした酒質の極上の酒です。
醸造用アルコールを加えないもの
純米酒
醸造用アルコールを使わないで、米、米麹、水だけで造った酒。精米歩合の条件はとくにありません。米の旨みやコクが感じられ、燗にも向いています。本格派の日本酒ファンに人気です。
特別純米酒
純米酒と同じく原料は米、米麹、水だけ。精米歩合は60%以下。純米酒と違うのは精米歩合に関する規定があること。米を磨いて、特別な造りで醸した純米酒です。
純米吟醸酒
米、米麹、水だけが原料で、精米歩合は60%以下。吟醸造りの製法によって丁寧に造られます。華やかな吟醸香、きれいな酒質が特徴です。
純米大吟醸酒
純米吟醸酒と同じく、米、米麹、水だけを原料に、精米歩合を50%以下とさらに高くした酒。醸造用アルコールを使った大吟醸酒よりも穏やかな香りです。
日本酒には味を分ける分類や味を表現する言葉
日本酒には味を分ける4つの分類と、味を表現するためのさまざまな言葉があります。
味の分類
- 熟酒(じゅくしゅ):香りが高く、味も濃い酒。熟成酒や古酒など
- 醇酒(じゅんしゅ):香りは少ないが、味が濃い酒。純米酒や山廃など
- 薫酒(くんしゅ):香りが高く、味が淡い酒。吟醸系の酒
- 爽酒(そうしゅ):香りも味も淡い酒。生酒、低アルコール酒など
味を表現する言葉
- 辛口:すっきりとした上品な味わいの酒。基本的に日本酒度が高い酒が辛口とされるが、日本酒度が低くても酸度が高ければ辛口となる酒
- 甘口:甘みを感じる酒。基本的に日本酒度が低いと甘口に分類されるが、酸度の高さによっては辛口となる
- 旨口:辛みが少なく、かつコクと奥行きがある酒
- 淡麗:さっぱりとした滑らかな味わいの酒
- 芳醇:香りが強く味もしっかりとした酒
- しっかりしている:米の味わいが濃厚な酒
- フルーティー:香りがよく辛くない酒
- 荒い:口に含んだときに刺激を受ける酒。熟成感が少なく若々しい味わいのものを指す
- ふくらみ:しっかりとしたコクが、口の中に広がる酒
- 押し味:後味にふくらみがあり余韻を響かせる酒
上記のほかにも味を表現する言葉はまだまだあります。実際に試飲をしながら表現を学ぶのが一番身につくので、本気で学びたい方は日本酒専門店へ足を運んで学ぶといいかもしれません。
日本酒の注文サイズについて
一般的な日本酒の注文サイズは以下になります。
一合 (いちごう) =180ml
一般的なコップ一杯分に注ぐ量にあたります。一合は、グラスで提供される場合と、徳利(とっくり)で提供される場合があります。徳利であれば、何人かで分けて楽しむこともできるので、皆でちょっと味見をしたい時はおすすめです。お店によっては、半合(90ml)や二合(360ml)といったサイズもあります。
ボトル=720ml
一般的に四合瓶のことで、四合、つまり720mlの量を指します。
大人数で飲む場合はボトルもおすすめですが、初心者の方はまず半合や一合から注文しましょう。お店によっては「一合」や「ボトル」ではなく、「グラス」や「一杯」という表記の場合もあります。
飲食店が日本酒の仕入先を選ぶときのポイントとは?
飲食店が日本酒を扱う場合、酒販店などから仕入れることになりますが、一口に酒販店といってもさまざまです。多種多様な日本酒を扱っているところもあれば、一部の地域の日本酒にこだわっているところもあります。仕入れ先は、酒販店の特徴はもちろん、自店舗のコンセプトや提供したい日本酒を踏まえたうえで選ぶことが大切になります。
取り扱っている日本酒の種類
酒販店によって取り扱っている日本酒の種類は異なります。バラエティに富んだ日本酒を取り扱いたいのであれば品揃えの多い酒販店、珍しい日本酒を扱いたいのであればそれらを扱っている酒販店といったように、酒販店が扱う日本酒と自分の店舗で提供したいと考えている日本酒のコンセプトが合致するようなところを選ぶと良いでしょう。
発注方法、締切・配送のタイミング
酒販店に対する注文方法は、電話やFAX、インターネットなど会社により違います。発注方法の違いは、日々の業務効率にも関わってくるポイントなので、チェックしておくと良いでしょう。また、注文の締切や配送のタイミングなども酒販店によって異なる部分です。酒販店によっては、フレキシブルに対応してくれるところもあるため、事前に確認しておきましょう。
小ロットへの対応
小さな飲食店などは、最小ロット数を確認するのもポイントです。小ロットに対応している酒販店も少なくなく、なかには1本から届けてくれるところもあります。その一方で、ある程度まとまった本数の注文が必要な場合もあります。必要な分だけ注文をしたいと考えている飲食店は、最小ロット数の確認を忘れずにしておきましょう。
試飲会、勉強会、飲食店のサポート体制
酒販店のなかには、試飲会や勉強会などを実施しているところもあります。スタッフの日本酒知識を向上したい、日本酒について勉強したいと考えている飲食店は、こうしたイベントを積極的に開催しているところを選ぶというのも一つの手です。さらに、料理に合う日本酒の提案をしてくれるなど、飲食店に対するサポート体制が整っている酒販店もあります。
まとめ
いかがでしたでしょうか?今回は、日本酒の基礎知識や日本酒の仕入先を選ぶときのポイントについて解説しました。
敷居の高いイメージがある日本酒ですが、次世代の蔵人の参入やクラフトサケの登場などにより、これまで日本酒と関わりが少なかった若い世代にも興味を持ってもらおうとする動きが出てきています。
きちんと知識を取り入れたうえで、お店で販売するようにしましょう。