魚介類を扱う飲食店経営者必見!飲食店における「アニサキス」の予防法や注意点について解説
厚生労働省によればアニサキスによる食中毒は毎年発生しており、そのうちの38%が飲食店で発生しているという結果が出ています。家庭での発生率の約2倍強の数字です。
そこで今回は、飲食店における「アニサキス」の予防法や注意点について解説していきます。
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アニサキスの基礎知識
まずは、症状などアニサキスの基礎知識について紹介します。
そもそもアニサキスとは?
アニサキスは寄生虫(線虫)の一種です。その幼虫(アニサキス幼虫)は、長さ2~3cm、幅は0.5~1mmくらいで、白色の少し太い糸のように見えます。アニサキス幼虫は、サバ、アジ、サンマ、カツオ、イワシ、サケ、イカなどの魚介類に寄生します。アニサキス幼虫は、寄生している魚介類が死亡し、時間が経過すると内臓から筋肉に移動することが知られています。
アニサキスによる食中毒はなぜ起こるのか?
アニサキス幼虫が寄生している生鮮魚介類を生(不十分な冷凍又は加熱のものを含みます)で食べることで、 アニサキス幼虫が胃壁や腸壁に刺入して食中毒(アニサキス症)を引き起こします。
アニサキスによる食中毒(アニサキス症)の症状は?
◆ 急性胃アニサキス症
食後数時間後から十数時間後に、みぞおちの激しい痛み、悪心、嘔吐を生じます。
◆ 急性腸アニサキス症
食後十数時間後から数日後に、激しい下腹部痛、腹膜炎症状を生じます。
生食の食習慣と関連しているため、4,5月はカツオ、9,10月はサンマと、旬とともに1年を通して発生します。回遊性の魚類への寄生が多く、国内の養殖魚では検出事例はないようです。
飲食店における予防法や注意点
刺身、寿司、海鮮丼の他、カルパッチョなどでも発生事例があります。厚生労働省では、飲食店などの事業者は、感染予防のために次の点に注意するよう呼び掛けています。
- 新鮮な魚を選び、内臓が付いた魚を仕入れた場合は、速やかに内臓を取り除く。
- 魚の内臓を生で提供しない。
- アニサキスの幼虫の特徴は、約2cm~3cmで、白色の少し太い糸状であること。目で見える大きさのため、目視で確認して除去する。(魚介類の腹腔内(内臓)に寄生し、寄生している魚介が死ぬと筋肉に移動するとされているが、魚介が生きているうちから既に筋肉内に寄生している場合もある。)
- 上記に加え、マイナス20℃で24時間以上冷凍する。
- 加熱する場合は、70℃以上、または60℃なら1分。
- 一般的な料理で使う食酢での処理や塩漬けなどでは幼虫は死滅しない。
アニサキスはマイナス20℃で24時間以上冷凍すると死滅します。魚介を冷凍して輸送している頃は輸送自体が感染予防になっていましたが、魚を低活性化するなどして高い鮮度を保って輸送する技術が発達した現在は、アニサキスが死滅していない状態で店舗に届きやすいです。つまり、店舗内での丁寧な確認や処理が必要不可欠ということです。
飲食店で食中毒が発生してしまった場合、営業停止になる可能性もある
保健所は食中毒発生の連絡を受けると、発生源と疑われる施設への立入調査を行います。原因施設は、食品衛生法第55条に基づき、被害拡大防止対策、再発防止対策が完了するために「必要な期間・範囲」で営業停止の行政処分を受けることもあります。
ちなみに厚生労働省では、「必要な期間・範囲」を「従業員教育等の再発防止措置に必要な期間」、「範囲は対象品目を鮮魚介類(冷凍品を除く。)に限定する」としています。また、食品衛生法第63条により、食品衛生法違反者等の情報は公表される場合もあります。
まとめ
いかがでしたでしょうか?今回は、飲食店における「アニサキス」の予防法や注意点について解説しました。
詳しくは、以下厚生労働省のホームページに詳細が記載されていますので確認しておきましょう。
(参考)厚生労働省|海の幸を安全に楽しむために ~アニサキス症の予防~