未来の成功を見据えて!物件内見でチェックすべきポイント
飲食店開業準備している時に、気になる物件を見つけても、図面や外観だけでは分からないことばかりです。そこで重要になるのが「内見」です。前のお店がまだ営業している場合など、契約前に何度も内見できないケースも多いため、なるべく一度にいろんなポイントをチェックしたい所です。
今回は、飲食開業をするにあたり、物件の内見時に確認するポイントについて解説します。
内見とは?
内見(ないけん)と聞いてピンと来ない方もいらっしゃるでしょう。これは不動産業界用語で物件の内部を実際に見に行くことを指します。この内見ですがポイントを絞って要領よく見ないと時間切れになるケースがあります。前もって見るポイントを決めておくなどの準備が必要です。
- 自分のコンセプトを実現できる居抜き店舗の物件かどうか、自分の目で見極められる
- 開店したい飲食店のイメージを膨らませることができる
- 売主さんや、店長さんから生の声が聞けることがある
- 不動産会社や内装業者さんにその場で質問、相談ができる
物件内見の流れについて
物件を探すには、不動産会社から紹介されたり、インターネットの物件情報を見たり、前を通りかかって気になった店舗があれば、まずは不動産物件の内見を依頼しましょう。申し込み方法は簡単で、その物件の管理をしている不動産会社に連絡をするだけです。
飲食店の場合、営業中の店舗か、すでに閉店した店舗かによっても状況は変わってきますが、もしも営業中の場合、内見は開店前やアイドルタイムに設定されることが多いです。
内見当日は、大抵は不動産会社の担当者が立ち会い、物件の説明を聞きながら中を見ることができます。まだ前の店が営業中の場合は、その店のオーナーや店長も立ち会う場合が多いです。
効率的に内見するためのポイント
設備と設備以外に分けてポイントをお知らせします。
電気容量
比較的電気容量をあげる工事は簡単ですが、動力電源を新たに引き込む場合、新たに工事が必要になり、1ヵ月程度工事に時間がかかりますので、予め把握が必要です。
ガス容量
飲食店におけるガス設備は重要な項目です。なぜなら、厨房機器に導入しようと思う機器を稼動できるガス容量が、その店舗に供給されている必要があるからです。もちろん不足ならば再度ガス会社に工事をしてもらい供給は可能なのですが、敷地から道路に敷設されている本管までの工事はガス会社負担となり、長ければ1ヶ月以上もたたないと工事が終了しない場合があります。
給排水・空調・排気・内装制限、ダクト、グリストラップ等
居抜き店の場合、入居後によく問題となるのが排気ダクトやエアコンのパワーの弱さと、グリストラップの排水問題。入居後に大きな工事が必要になることも多いため、気を付けたい部分です。営業中の店に内見に行く場合、店のスタッフさんに聞くと、詳細に教えてくれることが多いです。思い切って、聞いてみましょう。
その他、給水位置や排水位置の確認、換気が外壁にとれるルートが確保されているか、空調を付ける際に室外機を何処に設置するかなどを念頭において内見してください。
厨房設備
前の店舗から厨房設備や家具などを引き継ぐことを予定している場合は、そのあたりも詳細に見ておくことが重要です。しかし、お店の方が仕込みなどしている場合、あまり隅々まで見られないことも多くあります。そんなときは、厨房設備の年式・型番が書いてあるプレートを写真に収めておくと、あとでサイズや容量が分かったり、売った場合の見積が取れたりします。
厨房機器などにリース品が含まれていないか
内装や設備などには、リース品を使うオーナーさんも多いです。リース品はあくまでリース会社の資産であるため、最終的には返却しなくてはなりません。内見時にあってあてにしていた機材が実はリース品だったとなってしまっては困るので、造作譲渡契約を交わす前にリース品の有無をきちんと確認しておきましょう。
物件外側の整備状況
内見時に意外と忘れるのが、建物の外側の設備です。ビルの外壁が古過ぎないか、窓の状況、ネズミや害虫が侵入しそうな小さな穴などが多くないかなどを確認しておきましょう。
席数を把握する
飲食店の収益向上が、「席数」×「稼働率」×「客単価」×「回転率」になりますので、「稼働率」と「回転率」は事業開始後にしか分かりませんが、「席数」と「客単価」は事業を行う前に自発的に決められることなので、数字に置き換えると事業が成り立つか否かが事前に分かりますので、内見の時に席数をイメージしておくことが重要です。
看板の設置位置
看板は飲食店において重要な広告効果があります。内見時に看板の設置が確保できるか。どこに設置できるかを確認していきましょう。
営業時間の確認
24時間営業が可能な物件か、深夜営業不可な物件か、内見の時に不動産業者に確認しておきましょう。
昼、夜の近隣環境
内見時、物件の中だけでなく、周りの環境もよく見ておきましょう。人通りや周辺の店舗の有無、傾向、営業時間などもチェックします。
内見時に持参するものとは?
まず、内見は時間をかけても30~1時間程度です。その中でチェックできるところ、またできなかったところを後日確認するため、以下のものを持参しましょう。
ノート、ペン
大きめのノートに店内の見取り図などを書き、その図に細かい部分をメモしていくとよいでしょう。
カメラ(スマホでもOK)
当日「見た」と思っていても、後日、あそこも見ておけばよかったと思うことがほとんどです。あとで振り返ることができるよう、とにかく何枚も、いろんな角度から写真を撮っておきましょう。客席のみならず、収納スペース、エアコン、トイレ、厨房内設備、小物、グリストラップなども必須。また建物外側については、ダクト排気口、エアコン室外機、給湯器なども撮れたらベストです。
メジャー
特に居抜き店舗では、メジャーが必須です。簡単な見取り図に寸法も書き入れておけば、あとで業者とプランニングするのにも役に立ちます。
懐中電灯
スケルトンの店の場合など、照明が付いていない場合があります。スマホのライトでも良いですが、広い物件の場合は懐中電灯が便利でしょう。
出来れば退去理由は何か聞きましょう
聞きにくいことではありますが、前テナントの退去理由も確認しておきましょう。飲食店の退去理由の多くが経営の悪化によるものです。そうした場合、同業態での開業はリスクの高いものと覚悟し、なんらかの戦略をうつ必要があるでしょう。逆に、前テナントとは全く異なるターゲット層を狙うということであれば勝算は充分ありえるでしょう。
前テナントと近隣との関係を知っておきましょう
前テナントから詳しい話が聞けない場合で起こりやすいトラブルに近隣との確執が挙げられます。一番は煙、次に匂い、音の順番です。厨房から延びる排気ダクトが直接隣地へ噴き出していて、焼肉や魚を焼く煙がクレームになっているケースや、中華やカレーの様に匂いのきつい業種に対してのクレームが、前テナントと近隣とで起きていたことを知らされないままに契約を締結したとすると、後から多額の工事費(ダクト工事等)が必要になることがあります。ご自身が始める業種次第では近隣への聞き込みも必要です。この辺はよく不動産会社に確認をとっておくべきでしょう。
分譲マンションでの開業は特に注意が必用
入居を希望する 居抜き物件 が「分譲マンション」の一室であったなら管理組合もしくは管理室への確認は必須です。なぜなら管理規約で業種が制限されていることが多く、極端なケースでは、飲食店は許可するがアルコールは出してはいけないとはっきりと記入してあることがあります。これを知らずに契約すると問題になります。
気に入った物件を逃さないためには、冷静かつ迅速な判断が必要
人気物件にはたくさんの人たちが内覧に訪れます。誰かにとられてしまうかも…と焦ってしまうかもしれませんが、まずは落ち着いて、「居抜き物件の内覧でみるべきポイント」をきちんとチェックしましょう。その上で、これと思う物件に出会えた時には、早めの決断がよい物件を取得するための秘訣になります。
まとめ
人気物件にはたくさんの人が内見に訪れます。すぐに物件を取られてしまうかもしれないと焦るところですが、前述したポイントをしっかりとチェックしましょう。その上で、自分の理想にあう物件に出会えた時には、早めの決断が、よい物件を取得するための秘訣になります。