鮮度と信頼を手に入れる!農家や卸業者との連携がもたらすメリットとは?
単一農家との直接契約はお客様から好印象を持たれやすいですが、一方で気候不順などのために生産がストップしてしまった場合、仕入れができなくなってしまう可能性もあります。そういった意味では、並行して食材卸売業者との関係性も構築しておいたほうが、万が一のリスクを回避しやすくなります。
今回は、契約する農家の見つけ方や、農家と直接契約をする場合、卸売業者を利用する場合では、それぞれどのようなメリット・デメリットがあるのかをご紹介していきます。
仕入れ先としての農家を見つける方法とは?
卸売業者を通さず、産地から食材を直送してもらえるよう農家と契約するためには、まず生産者探しから始めましょう。生産者を開拓する方法は、インターネットや知り合いなどから農家の情報を集めたり、SNSを使って「農家を探している」ことを呼びかけたりとさまざまです。ホームページに生産者情報を掲載している飲食店もあるので、参考にしてみては?農家同士のつながりを大切にしている地域もあるので、近隣の農家を紹介してもらえるかもしれません。
オンライン直販サービスなら農家とのマッチングがスムーズに
情報収集だけでも骨が折れる作業ですが、情報をたくさん得られたとしても「おいしい・高品質・付加価値がある・安全」などの条件を満たす食材や農家に、必ずしも出会えるとは限りません。そこで、どうしても見つからない場合は、生産者をつなぐオンライン直販サービスの利用も検討してみては。さまざまなサイトがあるので、仕入れを検討したい農家を比較的スムーズに見つけられるはずです。
オンライン直販サービスを利用することで手軽に食材を注文でき、サイトによってはWeb上で農家と直接コンタクトを取ることも可能です。一方で、取引したい生産者が見つかったなら、現地へ出向いて直接交渉するのもおすすめ。顔を合わせて話したほうが強い信頼関係を築けるうえ、地元ならではのおいしい食べ方など貴重な情報を教えてもらえる可能性もあるからです。
仕入先としての卸業者を探す方法とは?
業務用食材や酒類等を扱っている卸業者から仕入れる方法があります。現在でも、多くの飲食店が卸業者から食材を仕入れています。
卸業者は、豊富な商品が掲載されているカタログやネットのリストから必要なものを注文すると、商品をまとめて届けてもらえるというサービスです。電話やFaxだけでなく、現在はWEBサイトやアプリから注文できるようになっている業者も多いです。大量の食材を扱っているからこそ単価が低い、支払いや注文を一括でできるというのは、卸業者のメリットです。
また、多くの店舗や生産者と付き合っているからこそ、業界の情報に精通しており、流行や最新ニュースなどを教えてもらえます。卸業者を利用する場合には、口座の開設や見積もりが必要だったりと手間はありますが、やはり重要な仕入れ方法といえるでしょう。
以下で、おススメの業務用食材卸業者を紹介していますので、参考にしてみて下さい。
(参考記事)おススメの業務用食材卸業者は?
農家と直接契約して仕入れる場合のメリットとデメリット
食材を農家から直接仕入れることは、飲食店だけでなくお客様にとっても利点が多い反面、デメリットがあることも否めません。農家との直接契約にはどのようなメリット・デメリットがあるのか、簡潔にご紹介します。
- 卸売業者などの仲介料がかからない分、コストを削減できる
- 規格外の食材をリーズナブルに仕入れられる
- 市場にはほとんど出回らない希少な食材を仕入れられる場合もある
- 卸売業者を通さないため、収穫してから飲食店に届くまでの時間を短縮でき、鮮度が高いうちに調理できる
- 「○○県の契約農家から直送」などとお客様にPRすることで、「良質で安全な食材を使った料理」であることをアピールでき、付加価値を付けられる
- 生産工程や栽培者を把握できるため、農薬汚染や食品偽装などが疑われる食材を避け、安全なものだけを仕入れられる
- 契約農家から、有益な情報を教えてもらえることもある
- 自店のメニューに適した食材を扱う農家を見つけるまでに、多大な労力や時間を費やす
- 仕入れをお願いするために農家の元へ足を運び、交渉や契約のやり取りをする必要がある
- 天候・気候や災害などの影響で、生産がストップしたり少なくなったりするリスクがある
- 天候不順などによって品質が低下しても、契約した分は購入しなければならない
- 契約後は、料金と量の変更や、オーダーの変更、キャンセルなどを受け付けてもらえない場合が多い
卸売業者を利用する際のメリットとデメリット
では、農家との直接契約と比較して、卸売業者を利用する場合はどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。
- 卸売市場へ足を運べば、食材吟味のプロである業者から、知識や情報を得られる
- 食材の目利きに長けた卸売業者との信頼関係を築ければ、より良い食材を仕入れられる
- 希少な食材を入手できることもある
- 卸売業者と契約して、食材を定期的に配送してもらうことも可能。カタログなどを見て手軽に発注できる業者もある
- まとめて注文するとリーズナブルに購入できる場合もある
- 卸売市場の業者と信頼関係を築き上げるまでに時間がかかる
- 卸売業者を通す分、中間マージンのコストが増えたり食材の鮮度が落ちたりする
- 単体で購入すると価格が相場より高くなる場合もある
食材が産地から店舗へ直送される農家との契約とは違い、卸売業者を通す場合は中間マージンがかかる、食材の鮮度が落ちるなどのデメリットがあります。ただ、農家と直接契約の場合は自分の目利きで食材を選ぶのに対し、卸売業者を利用すれば、プロの目で判断した好条件の食材を仕入れることができます。さらにカタログなどから注文できる場合もあり、仕入れにかける時間を短縮できるのもメリットの一つと言えるでしょう。
まとめ
仕入れ先としての農家を探す作業はとても大変ですが、良い農家と出会えれば、直接仕入れたこだわり食材の料理であることを前面にアピールでき、店舗のイメージアップにつながります。ただ、農家からの仕入れに偏り過ぎると、天候不順や災害により供給がストップした際のリスクが高くなる可能性も。農家から仕入れた食材は、一部のメニューに使用するだけでも「良質な食材を使っている店舗である」と訴求できますので、日頃から卸売業者との取り引きも大切にして、バランスの良い仕入れを目指していきましょう。