食品衛生責任者とは?飲食店営業に必要な食品衛生責任者の届け出と更新を忘れてしまったらどうなるのか?
飲食店として営業する為には、法律に従って食品衛生責任者の有資格者を店舗ごとに1人、必ず置かなければなりません。しかし、開業直後や退職などの理由により食品衛生責任者が一時的に不在となる可能性があります。こうした場合、速やかに申請・更新をする必要があります、日々の営業に追われて変更の届け出を忘れてしまう可能性があります。責任者が不在のまま営業を続けてしまうと違反行為となり、経営者や店舗の責任者に法的な罰則が下されることがあります。
今回は、食品衛生責任者についてや、飲食店営業に必要な食品衛生責任者の届け出と更新を忘れてしまったらどうなるのかについてお知らせします。
食品衛生責任者とその役割について
飲食店に最低1名必ず常駐していなければいけないのが食品衛生責任者の資格保有者です。自治体によって規定は多少異なりますが、どんな小さな個人店や大規模チェーンでも、飲食の営業を行う際は最低でも1店舗に1人は食品衛生責任者の配置が義務付けられていますので、飲食店オーナーや店長職に就いている人であれば是非とも持っておきたい資格になります。
そして食品衛生責任者の主な役割としては、以下になります
- 設備の衛生確認をしたり不衛生箇所があればその改善
- スタッフの健康管理し、体調不良者は働かせない
- 手洗いや清掃のチェック表など衛生管理表の作成
- 保管場所や加熱方法のチェックなど食材の管理
主に上記が挙げられますが、一言で言うと「店舗で扱う食品衛生管理の責任者」です。よく食中毒で飲食店が営業停止というニュースを目にすることがありますが、そうならないためにも、正しい知識を持った有資格者による衛生管理の履行・チェックが必要になってくるのです。
食品衛生責任者資格の取得方法
食品衛生責任者資格は、食品衛生責任者養成講習会を受講することで取ることができます。講習会の受講終了証が食品衛生責任者資格を満たす証明書になりますので、飲食店営業許可申請を保健所に提出するときに一緒に提出しましょう。講習会は、月に複数回、定期的に行われています。また、会場も複数ある場合が多いので、自分の行きやすい場所で行われている講習に参加してください。
なお、講習会は、それぞれの都道府県が管轄して行っているものですから、細かい要件については各都道府県によって異なる場合があります。実際の受講資格や、受講にかかる金額などは、事前に各都道府県に確認するようにしましょう。とはいえ、平成9年4月1日以降に取得した資格については、どこの都道府県でも通用しますから、資格は地元で取って、将来都心部で開業するということも可能です。
受講方法と講習内容
食品衛生責任者養成講習は、各都道府県にある食品衛生協会が開催しています。受講するためには、事前にこの協会に受講申し込みをする必要がありますから注意しましょう。申し込み方法は地域によって異なりますが、多くの場合は、郵送か直接窓口に申し込むことになります。web受付などは行われていないことも多いので、申し込みがギリギリになってしまわないようにしましょう。
受講に必要な受講料は、10,000円前後です。これは、申込時ではなく、当日持参することになります。受講は、衛生法規2時間、公衆衛生学1時間、食品衛生学3時間(テスト含む)の計6時間です。1日ですべての科目の講習が行われるため、何度も通う必要はありません。テストも、きちんと講義の内容を聞いていればわかる確認テストのようなものですから、事前勉強などは不要です。
講習の受講が免除される人
食品衛生責任者講習は、食品の衛生について勉強するためのものですから、すでにその知識があると考えられる人に対しては受講が免除されます。以下のいずれかに当てはまる場合は講習が免除されます
- 栄養士
- 調理師
- 製菓衛生士
- 食鳥処理衛生管理者
- 畜場法に規定する衛生管理責任者若しくは作業衛生責任者
- 船舶料理士
- 食品衛生管理者の有資格者(医師・歯科医師及び学校教育法に基づく大学での課程を修了した者)
自分が免除対象かどうかわからないという場合は、各大学や各地の食品衛生協会に問い合わせてみましょう。
食品衛生責任者は更新手続きが必要なのか?
食品衛生責任者の資格には期限はありません。更新手続きは義務付けられていない資格のため、一度取得してしまえば一生使える資格です。但し、一定の期間や機会に受講が義務付けられている講習や研修がある場合もあります。このような研修等に無断欠席などをすると資格が無効になる可能性がゼロではないため注意しましょう。
食品衛生責任者がいない場合はどうなるのか?
上記でもお知らせした通り、飲食店を営業するには、原則、営業許可と食品衛生責任者の設置が義務付けられています。食品衛生責任者の資格を取るには食品衛生責任者講習会の受講が必須となります。(一部資格保有者を除く)万が一店舗のオープン予定日までに講習会の受講が間に合わない場合は、下記のとおり申請すれば開業は可能です。
- 食品衛生責任者設置誓約書を提出する
- 食品衛生責任者講習会の受講予約票を提出する
保健所の窓口にて「食品衛生責任者設置誓約書」を提出することで、数か月の猶予できます。また、講習会の受講の予約が済んでいて保健所の検査が先にある場合は、その予約票を提出することで開業前の保健所の検査を受けることが出来る場合もあります。受講予約が済んでいる場合は、保健所の窓口にて相談してみるとよいでしょう。
上記理由以外での食品衛生責任者不在や名義貸しなど他人名義で営業をすると、行政処分として、指示、営業停止、営業許可の取り消しの対象となってしまいます。2年以下の懲役または200万円以下の罰金(食品衛生法)が科されることもあるので注意しましょう。
従業員に資格を取らせておいて、その従業員が何らかの理由でいなくなってしまった場合に営業することが出来なくなってしまうので、経営者本人も資格を取得し、その補助として従業員にも資格を保有してもらうことをお勧めします。
まとめ
飲食店では、店舗ごとに食品衛生責任者を決めることが義務付けられているため、食品衛生責任者の資格を得るために食品衛生責任者養成講習を受けなければいけません。講習で行われるテストの内容はそれほど難しいものではありませんが、講習は、これから食品を扱うための知識を身に付けるためのものです。ただ受講して資格を取ればいいと思わずに、きちんと内容を理解するようにしましょう。
そして罰則の内容から、店舗における食品衛生責任者の重要性がうかがえます。飲食店の価値はおいしいメニューや心地よい接客だけでなく、安心・安全の提供が求められています。飲食店を営業するうえで義務付けられている食品衛生責任者の役割を見直し、自店の運営に取り入れることが必要になってきます。