【飲食店経営者必読!】個人事業主から法人にするタイミングとは?
飲食店を開業する際、最初は個人事業主で開業するケースが多いですが、ある程度の利益が出るようになれば法人成りを検討しなければいけません。会社設立したほうが節税でき、お金を手元に残せるからです。
そこで今回は、飲食店における個人事業主から法人にするタイミングについて解説していきます。
飲食店開業時は法人ではなく自営業がよい!?
飲食店開業する際、最初から法人化してもいいですが、基本的にデメリットでしかありません。理由としては、法人では維持費が必要になるからです。
まず、法人だと個人事業主のように自ら確定申告をするのは無理です。税理士に頼まなければ決算書を作るのは不可能に近いほど難しいです。そこで、どの会社でも顧問税理士を雇います。このときの費用は月3万円ほどであり、決算月だと12~15万円ほどになります。これだけで、年間で約50万円程度の固定費が発生します。また、法人では赤字でも支払わないといけない税金があります。これを法人住民税の均等割といいますが、赤字でも最低で約7万円の支払いが必要になります。
更に、飲食店で社員を雇っている場合は社会保険料を負担してあげなければいけません。個人事業主では関係ない社会保険料ですが、法人だと必須になります。社員がいる場合、給料の約15%に相当する額を会社が負担する必要があります。例えば月20万円の給料であれば年間36万円になります。仮に社員が3人いれば、それだけで年間108万円の負担増になります。
こうした事を考えれば、開業時に最初から法人化するのがいかに負担がかかるかわかると思います。飲食店は、最初は自営業としてスタートさせるのが必須だといえます。
融資を受ける際も法人でも個人事業主でも変わらない?
また、個人事業主でも問題ない理由として、お客さんや金融機関からの信頼度は変わらないことがあげられます。
お客さんが食事をする店を選ぶとき、あのお店は自営業だからなどというように考えることはありません。それよりも、店内の様子やスタッフの雰囲気、食事のおいしさ、立地などが重視されます。
これは金融機関も同様です。地銀・信金や日本政策金融公庫は個人事業主だから冷遇することはありません。実際、自営業でも利益を生み出せば高額な融資を引き出せますし、法人でも赤字であれば融資を断られやすいです。ビジネスにおいて重要なのは儲かっているかどうかの事業の中身だといえます。
こうした事もあるため、開業時に法人化する意味はないといえます。
共同経営でも個人事業主から始めるべき
なお、自営業として事業を開始しなければいけないのは、どのようなケースであっても同じです。当然、2人以上で事業を開始する共同経営であってもです。
飲食店の場合、一人で開始するのではなく共同経営で始めることも多いですが、その理由として料理の提供と接客・マネジメントは異なるスキルであるため、それぞれ違う能力をもつ人同士で組み、飲食店を開業させるのです。ただ、この場合も同様に最初から法人化するのはデメリットです。しかも個人事業主であっても事前に代表運営者を決め、もう一人の共同経営者には給料を支払えば事足ります。わざわざ高額な固定費を支払い、会社設立するメリットはないです。
法人化を検討するときは、飲食店を実際に経営して儲かった段階でなければいけません。
では法人化をするはどのタイミングなのか?
専門家の中には、売り上げが1,000万になった場合や開業して3~5年ほどという指摘をする人がいます。売上1,000万円というのは、消費税を課せられるかどうかの境目になります。また、飲食店だと年間売上1,000万円を超えるのは当然だといえるため、開業して2~3年目には消費税を課せられるようになります。そこで、「年間売上1,000万円超え」のタイミングで法人化するという理屈です。ただ、法人成りを消費税の課金発生だけで判断してはいけません。上記で説明した通り、顧問税理士への報酬や法人住民税、社会保険料など費用負担が非常に大きくなるからです。利益が少ない段階から法人成りするメリットはないといえます。
では法人化をするはどのタイミングなのか?結論から言うと上記でもお知らせしましたが、儲かった段階が法人化するタイミングです。個人事業主で無駄に利益があると、その分だけ高額な所得税を課せられるようになります。ただ、法人であれば非常に多くの節税方法があるため、たくさんお金を残せるようになるのです。
このとき、いくらの利益を残すことができれば法人成りを検討するべきかというと、月50万円(年間600万円)です。もっと分かりやすくいうと、代表者が個人事業主として確定申告している事業所得が年間600万円以上なら法人成りする価値があるといえます。年間の利益600万円というのは、売上規模でいうといくらになるのでしょうか。仮に利益率10%だとすると、利益600万円を出すためには、売上6,000万円である必要があります。もちろん業種によって利益率は大きく異なりますし、店舗ごとにいくらの利益を残せるのかは違ってきます。ただ、ザックリと売上6,000万円を超えて大きな利益を継続的に出せるようになれば、法人化する意義があるといえます。
基本的に1店舗600万の利益は難しいですが、多店舗展開して総合的に利益600万出して法人化するのが飲食店で多いパターンになります。
個人から法人にする場合、飲食店営業許可は取り直し
けっこう見落としがちな点ですが、飲食店営業許可の名義人になっている個人が、会社の代表者になるようなときであっても、法律上は個人と法人は別人格とみなされますので、個人から法人に名義を変える場合には、飲食店の営業を譲渡する場合などと同じように、飲食店営業許可を取り直さなければいけません。
手続きとしては、一度飲食店を廃業して、新たに法人の名義で飲食店営業許可を取得するという流れになります。法人設立前から保健所に相談しながら進めれば、飲食店営業許可を途切らせることなく営業が可能です。書類に関しては、個人で申請したときのものをほとんど流用できますので、それほど大変ではありませんが、当然また保健所の現地調査が必要になりますので、臨時に営業時間を変更するなどの対応が必要になることがあります。
まとめ
いかがでしたでしょうか?今回は、飲食店における個人事業主から法人にするタイミングについて解説しました。
尚、法人化する際には、会社設立(会社登記)は司法書士、決算・節税・記帳は税理士に依頼しましょう。司法書士は会社登記単発の依頼で8~10万位に費用になります。税理士は上記でもお知らせしましたが、月3万円ほどであり、決算月だと12~15万円ほどになります。これだけで、年間で約50万円程度の固定費が発生します。