飲食店で焼き鳥を出すなら知っておきたい『焼き鳥の種類や焼き方』について解説
そもそも焼き鳥とは、鶏肉を一口大に切り、串刺しにして、直火焼きしたものを一般的に焼き鳥といい、鶏肉以外の肉の串焼きをやきとりと称しているようです。食生活が豊かになった現在は、希少価値の高い地鶏や銘柄鶏にこだわるお店も増え、大衆向け~高級向けと幅広いお店が存在するようになりました。
今回は、焼き鳥の種類や焼き方について解説していきます。
焼き鳥の種類とそれぞれの違い
焼き鳥は使っている鶏の部位によって、メニュー名が異なります。店舗を出す場合、それぞれ価格や味わいなどを把握しておきましょう。
※同じ部位のお肉でも、店舗によって呼び名の異なる場合があるのでご注意ください。
ささみ
胸肉の内側の部位。笹の葉に形が似ていることから。さっぱりした味わいです。
ハツ
ハツは、鶏の心臓のお肉。1羽から1つしか取れません。強い歯ごたえがあり、ちょっぴり鉄の風味を味わうことができます。ちなみに写真は「丸ハツ」と呼ばれ、心臓の内膜を裏返して円錐形になっています。ハツよりも脂が乗っていて、柔らかいのが特徴です。
せせり
せせりは鶏の首のお肉。こちらもよく動く部分なので、身がぎゅっと締まっていて歯ごたえもあり、肉のうま味が凝縮されています。
もも
足のつけ根から先の部分のお肉。肉質は胸肉よりやや硬めでコクのある味で最もポピュラーで人気が高いです。
砂肝
砂肝は鶏の胃の消化器の一部分。なんといっても弾力のあるコリコリとした食感が特徴のお肉です。肉汁が少なく、臭みもないため、肉本来の素朴な味を楽しむことができます。味の濃いタレよりも塩こしょうとの相性がよいお肉です。
つくね
つくねは挽肉を丸めて固めた手間のかかったメニュー。挽き肉を団子状または棒状にして焼き上げます。つくねはお店によって最も違いが生まれるメニューなので、焼き鳥屋さんに足を運んだらぜひ注文してみてください。
そりレース
フランス語で「バカはそれを残す。」という意味のそりレースは、鳥モモの外側にあるコブの部分。鶏の体の中でも一番動かされる部位なので、鶏肉とは思えない弾力と旨味があります。1羽から2個しかとれない貴重な部分です。
こころのこり
こころのこりは、心臓と肝臓の付け根のお肉。ハツ(心臓)の残り物ということで「こころのこり」という名前が付いたのだとか。脂も乗ってタレとまとわり付きやすいので、塩よりもタレでいただくのがオススメです。カン(血管)、つなぎ、赤ひも、などと呼ばれることもあります。
ねぎま
焼き鳥を想像するときに最もイメージしやすいのは「ねぎま」ではないでしょうか。お肉は鶏の上身部分を使っていて、ネギの風味とよくマッチする定番のメニューです。
皮
もっちりとした食感と脂の旨みを同時に楽しむことのできる鶏の皮部分です。お店によって鶏のどの部分を用いているのかは変わります。こちらの写真は、首の皮を焼き上げた1品です。
軟骨
鳥類の特徴である胸骨の先端の比較的柔らかい部位を指します。なんこつ自体には特徴的な味がありませんが、コリコリとした食感が特徴です。なんこつは鶏肉の中で一番低カロリーですので、カロリーを気にする女性にはオススメの焼き鳥です。
レバー
レバーは鶏の肝臓部分。ねっとりかつふわふわとした独特の食感があり、濃厚なコクとなめらかな舌触りが楽しめます。苦手な人も多いと聞くレバーですが、せっかく焼き鳥屋さんに行ったら一度は挑戦してみて欲しいメニューです。新鮮で上質なレバーならば通常よりも臭みが少なく、口の中で旨みが膨らんでいくような深い味わいがありました。タレで食べることが多い具材でもあります。
ふりそで
ふりそでは鶏の肩肉。胸肉と手羽元のちょうど中間部分です。皮の味、肉の旨味も堪能できる贅沢な部位で、生醤油で食べるとよりおいしさが際立ちます。
ぼんじり
鶏のお尻の部分のお肉。お尻なだけあって、脂がしっかりと乗っていて、ぷりっとしたジューシーな食感を楽しむことができます。
おたふく
おたふくは、首の側面部分のお肉で食道とリンパに相当します。表面は脂が多いのでねっとりとした食感が楽しめ、中はこりこりとしていて歯ごたえがあります。一度に2種類の食感が楽しめるお肉です。
やげん
鳥の胸の軟骨。硬くて歯ごたえが良いです。
手羽
手羽は、鶏の羽の付け根部分の肉。上腕の部分を手羽元、肉は少なく脂肪分が多いのが特徴です。焼きたてに塩をふった手羽先は、表面の皮はパリッと食感、中の肉は柔らかです。
焼き鳥の焼き方の基本
お店ごとのこだわり、鶏の状態、焼台のつくりなどによって変わってきますが、焼き鳥に重要な焼きの技術です。部位によっても異なりますが、基本的に大事だといわれているのが、強い火で焼くことです。炭の高温を保ちつつ、短時間で焼くことで、肉汁を逃さずに表面をパリッと焼き上げることができます。
お店によっては、店内の風向きを計算しながらうちわで扇ぎ、火力を調整したり、串の返しを意識し、位置や向きを変えながら、焼き加減を整えたりしています。もちろん、塩やタレをつけるタイミングも重要になってきます。
焼き鳥に重要な串打ちについて
串打ちは、焼き鳥の焼き上がりを左右するといわれる重要な要素です。店舗によって、串打ちの方法は異なりますが、基本的なポイントは以下になります。
- 繊維に対して垂直
- 重心をとらえる
- 肉の厚みを揃える
- 肉の重量を揃える
- 末広がりに打つ
肉は加熱すると繊維に沿って縮みます。また、焼き上がりを均一にするためには、肉の大きさ以外にも焼台の火力を意識することが重要です。焼台は基本的に手前の火力が弱いといわれています。おいしい焼き鳥を作るためには、肉の特徴、焼台の特徴をしっかり把握しておきましょう。
また串ですが、串にもぎんなん串、丸串、角串、平串と種類があります。素材も竹串、金串とあるので、素材や用途によって使い分けましょう。
鶏肉は鮮度が大事!食中毒には注意を!
鶏肉は、新鮮だと肉が透明感のあるピンク色をしています。表面に張りがあり、鶏皮が付いた肉は、毛穴が盛り上がっています。また、手羽先や手羽元は、鮮度がよいと身がふっくらとして厚みがあります。反対に、鶏肉の心臓やレバーなどの内臓以外の肉は、鮮度が落ちると白く濁り、肉の透明感がなくなってしまいます。購入時は、ドリップで鮮度を確認するのが分かりやすいですが、新鮮な肉質の状態も覚えておくと便利です。
また鮮度が落ちてドリップの出た鶏肉は、菌が繁殖しやすい状態になります。とくに鶏肉で注意したいのは食中毒菌のカンピロバクターです。カンピロバクターは、鳥、ペット、野生動物など多くの動物が保菌していて、乾燥に弱く、通常の加熱調理で死滅する特色を持っています。
そしてカンピロバクター食中毒を防ぐには、鶏肉の中心部を75℃以上1分以上加熱しましょう。鶏の生肉を扱ったまな板、包丁などは、ほかの食材や調理器具と触れないように洗浄します。また、手に付いたカンピロバクターから感染する例もあるため、生肉を扱うときはビニール手袋などを使うか、手洗いをしっかりと行ないましょう。鶏肉で起こる食中毒は、カンピロバクター以外にも病原性大腸菌などさまざまです。食中毒を防ぐには、鮮度が落ちる前に食べて菌を増やさないことと、中心部まで火を通すことを心がけましょう。
まとめ
焼き鳥屋は比較的低コストで始めることができる飲食店と言えます。焼き鳥屋は大衆的なイメージが強く、内装費が比較的節約できますし、狭いお店でも問題ありません。また、食材などの原価が低く、お酒と一緒に提供することで利益率を上げることができます。今回お知らせしたことを覚えたうえで開業しましょう。