飲食店におけるスタッフ人数の目安とは?
飲食店開業をする際に、「最初は不安だから多く採用して不安を取り除こう」「できるだけ多く人を配置して、抜け漏れのないようにしよう」という考え方を持っている方は多いかと思います。飲食店開業後における経費として、主に食材費、家賃、人件費が挙げられますが、スタッフの人件費を如何に抑えて、顧客満足度を上げられるかと考えるのは必須です。
今回は、飲食店におけるスタッフ人数の目安について解説していきます。
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適正なスタッフ人数の考え方とは?
基本的に、必要なスタッフの数は、店のテーブル数や客席数をもとに決定するのが一般的ですが、業態、お店の規模、様々なコストとの兼ね合いで変わってきます。顧客満足度を上げる為に多めに人を配置、各持ち場それぞれに配置という考え方だけでは経営が成り立ちません。
実際に必要な人数は店舗の業態や大きさ、お店のレイアウトによって変わってきます。カウンターだけのお店であっても、常に5~6人が忙しく立ち働いている店もあれば、夫婦2人だけで経営している店もあります。喫茶店も、マスターが1人でやっているところもあれば、多くのスタッフが丁寧なサービスを行っている店もあります。スタッフ数の参考にするために、同じ規模の店を調査に行くケースもあるかと思いますが、他店がどのくらいのスタッフで回しているのかを参考にする場合には、単純に客席数だけで比較するのではなく、サービス内容や客層などまで含めて考えるといいでしょう。
そして、いくら店によって必要な人数が違うとはいえ、カウンター型のお店以外では、少なくとも調理とホールは別の人が行う事をお勧めします。 料理を運ぶところまでは兼任するケースもありますが、客が新しく来店したり、会計をしたりする度にキッチンから出て案内をするのでは時間がかかってしまいますし、目も行き届かなくなります。
人員配置における計算式がある!?
人員配置するうえで、飲食店経営に重要な計算式があることをご存知でしょうか?前述でもお知らせした通り、店舗の業態や大きさ、レイアウトによって変わってきますが、最終的には利益が出ていなければ飲食店の経営は成り立ちません。
人時売上高
人時売上高は「1人の従業員が1時間当たりにいくらの利益を出したかという事を表したもの」です。「人時売上高=店舗の月商÷従業員の総労働時間」で計算する事ができます。この労働時間については、正社員、アルバイト、パートなどすべて雇用形態の従業員の労働時間を指します。
例えば、月商250万円の店舗があると仮定すると、従業員の総労働時間が200時間だとすれば、そのお店の人時売上高は12,500円ということになります。月商400万円の店舗で、総労働時間が650時間の場合、人時売上高は6,154円です。この数字によって、店舗の人員配置が適切かどうかを判断する指標の一つとすることができます。
人事売上高の理想的な値段は、5,000円程度と言われています。一般的には、3,000円~4,000円程度の人事売上高が平均値となりますが、5,000円を超えていれば優良店となります。
但し、人時売上高は、高ければ高いほどいいというわけではありません。人時売上高が高いということは、少ない人数で売り上げを上げているということです。スタッフが少ない事で顧客満足度が下がっていたり、従業員に負荷をかけている可能性があります。
売上高人件費率
売上高人件費率は「会社の売上に対する人件費の割合」を指します。「売上高人件費率(%)=人件費÷売上×100」で計算する事ができます。売上高人件費比率が高い場合は、人件費が企業の収益を圧迫している状況を指します。一般に40%が目安となり、経営上人件費が適切な状態かどうかが判断できます。
FL比率
FL比率とは、(F(材料費)+L(人件費))÷売上高の算出方法で出すことが出来ます。FL比率は、一般的に50%~55%程度が一般的な目安となります。もう少し細かくみていくと、F(材料費)コストは30%以内、L(人件費)コストは20%以内が一般的な目安の数値と言われています。
但し、これはあくまでも一般的な目安です。もちろん、それぞれのお店の状況や業態により最適なFL比率は異なります。通常このFL比率が60%を超える場合には、材料のロス(廃棄損)や過剰な人員の配置等がないか、メニュー構成やスタッフの配置・シフトなどについて見当し直す必要があります。
(参考記事)飲食店の経営指標「FLコスト」と「FL比率」とは?
まとめ
飲食店を始めて開業する方は、スタッフを何人雇うのか判断が難しい所です。必要な人数は店舗によって異なるため、よく検討する必要がありますが、スタッフを多く雇ってしまうと、人件費がかさみますし、逆に少ないと顧客満足度やスタッフの疲弊につながります。必要スタッフ数を把握するために、最初の数日はプレオープンとして、シュミレーションという形で営業してみるのもお勧めします。