焼きそば店での開業~必要資格や開業資金など~
B級グルメブームの後押しを受けて、焼きそばを専門に扱う焼きそば店で成功しているケースが多くあります。焼きそば店をこれから開業しようと検討している方は、どのようなことに気をつけるべきなのでしょうか、
今回は、焼きそば店を開業するために必要なポイントを紹介していきます。
開業方法とは?
開業する方法は大きく分けて3つの方法があります。それぞれの特徴から、自分のスタイルとマッチしている開業方法を検討しましょう。
新規で立ち上げ
ゼロから立ち上げる方法です。やきそば店を開業する人の中でも新規開業を選択するケースは珍しくありません。新規で立ち上げは達成感があるだけでなく、経営に成功すればさまざまな業態で売り出すことも可能です。
しかし、その一方で成功する時期がいつになるかわからないというデメリットがあります。開店当初集客がある程度見込めていても、突然客足が悪くなり、経営悪化につながることもあります。失敗した時のリスクを全て背負う必要があります。新規で立ち上げを検討する方は、失敗した時のリスクがある程度背負えると覚悟したうえで開業を検討しましょう。
FC店に加入
焼きそば店の中にはFC加入ができるお店もあります。低リスクかつ焼きそば店のノウハウが知りたいという方は、FC店に加入を検討しましょう。しかし、焼きそば店の場合FC店加入を募集していても、全国規模ではなく特定の地域限定という可能性があります。
さらに、売り上げの一部を本部に取られてしまうので、売り上げによっては経営者に入る報酬が少なくなってしまう可能性があります。黒字経営を維持していても、報酬が改善されないということが考えられるので、注意が必要です。
後継者として開業
焼きそば店の中には、地元に密着した昭和から経営を続けているお店も多くあります。このようなお店の中には経営者が見つからず、経営状態がよくてもお店を閉店させてしまおうと考えているケースも珍しくありません。
このようなお店の引き継ぎをすれば、個人店で培ってきたノウハウをそのまま引き継ぎ、お店の認知度もある程度あるので、安定的な経営が期待できます。
焼きそば店の開業時に求められる資格とは?
焼きそば店は飲食店の一種ですので、所轄の保健所の食品衛生課に営業許可の申請を行うことが求められます。許可を得るためには、施設要件や設備要件を満たす店舗や設備になっていなければいけません。元飲食店の居抜き物件の場合はそれほど心配はいりませんが、スケルトン物件の内装工事などを行う場合は、保健所の求める要件を確認した上で工事内容を決める必要があります。工事会社は飲食店工事を手掛けた経験がある会社を選ぶことをおすすめします。
また、飲食店では食品衛生責任者の資格を持っている人を店舗に配置することも求められます。食品衛生責任者の資格は1日程度の講習を受けることで取得できますので、1人で営業する予定の人は開業前に取得しておく必要があるでしょう。
その他、防火管理者はすべての飲食店に必要という訳ではありませんが、収容人数が30人以上(従業員を含む)になる飲食店の場合、選任する必要があります。都道府県や市区町村など地域によって異なりますが、甲種新規講習は2日間、乙種は1日で取得することが出来ます。受講料は、甲種新規講習が7,500円、乙種講習が6,500円です。
開業に必要な手続き
個人事業主として行う場合、一般的な手続きとして、個人事業の場合、個人事業の開廃業等届出書、所得税の棚卸資産の評価方法・減価償却資産償却方法の届出書、青色申告承認申請書等を納税地の所轄税務署へ提出します。また、個人事業開始申告書は事業所所在地の都道府県税事務所へ。詳しくは、最寄りの管轄行政に問い合わせが必要です。
法人として会社を設立する場合、定款作成、会社登記をし、法人設立届出書、青色申告の承認申請書、給与支払事務所等の開設届出書、源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書、法人設立届出書(地方税)などを提出します。
必要な開業資金
開業するためには、空き店舗探し、調理設備の調達、材料の仕入れ、広告宣伝費などさまざまな費用が必要になります。通常の飲食店は,1000万円程度の開業資金が必要ですが、焼きそば店の場合は1,000万円以下でも開業が可能です。実際に9坪9席の小さなお店で、行列を呼ぶ焼きそば店も存在します。低資金での開業を検討している方は、焼きそば店を開業する選択肢はアリと言えるでしょう。
開業資金をどこから調達すればいいのか?
開業するにあたり、自己資金、いわゆる貯金だけで開業できればいいですが、なかなか日々の生活費なども考えると難しい所です。では自己資金以外でどこから調達すればいいのでしょうか?
日本政策金融公庫
日本政策金融公庫とは、2008年10月1日に、国民生活金融公庫、農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫、国際協力銀行の4つの金融機関が統合して発足した100%政府出資の政策金融機関です。全国に支店網があり、固定金利での融資や、長期の返済が可能など、民間の金融機関より有利な融資制度が多く、設立間もない法人やこれから事業を始めようとする人であっても、融資を受けやすいのが特徴です。
一般的な中小企業に関係する事業は、国民生活事業になり、国民生活事業は事業資金の融資がメイン業務で、融資先数は88万先にのぼり、1先あたりの平均融資残高は698万円と小口融資が主体です。融資先の約9割が従業者9人以下であり、約半数が個人企業です。サラリーマンには馴染みではないですが、理由として、銀行のように口座はなく、貸付のみだからになります。
創業者向け融資制度である「新創業融資制度」や認定支援機関の助言があれば無担保・無保証、金利が安価になる「中小企業経営力強化資金」という融資制度がお勧めです。
信用保証付の融資
「信用保証協会」という公的機関に保証人になってもらい、民間の金融機関から融資を受ける制度です。貸倒のリスクを信用保証協会が背負うので、実績のない創業者が民間金融機関から融資を受けることが可能となります。万が一返済が不可能になった場合は、信用保証協会が代わりに金融機関に返済し、その後債務者は、信用保証協会に借入金を返済することになります。信用保証協会は全国各地にあり、地域ごとに創業者向けの融資制度を設けています。また独自の融資制度を設けている自治体も多くあります。
手続きの手順としては、信用保証協会に保証の承諾を受け、金融機関から実際の融資を受けるという流れになります。また各自治体の制度を利用する場合は、自治体の窓口を経由することになります。
親族、友人・知人からの借入
親族・知人から借入をする際には、その人の好意でお金を借りることになります。先々トラブルにならないようにしっかりとした取り決めをおこなっておくことが重要です。いくら近い間柄とは言え、お金を貸す側の心理としては複雑なものです。また、後々トラブルになりやすい資金調達法でもあるため、甘えてしまわないよう入念な説明と借用書などを交わすなど、お互いが納得のいく取り決めをしっかりとしておきましょう。
その他注意点として、金額によっては贈与税を納めなくてはならないので、実施する場合は、贈与とみなされないよう書面(金銭消費貸借契約書)を作成したほうが良いでしょう。また、利息など契約内容も明確にし、返済は銀行口座を通じたり、領収書をもらうなどして、証拠を残したほうが良いでしょう。
焼きそば店開業の留意点
焼きそば店開業の留意点として、「店舗探し」「素材の仕入れ」「ターゲット層の選定」という視点で説明します。
店舗探し
開業するための立地場所が焼きそば店では最も重要視する必要があります。オフィス街にすると集客がある程度見込めるものの、家賃が高くなります。その一方で住宅街の家賃は安く抑えられるものの、居酒屋、ファミレスなどの他業種の競合店も多く集客が未知数です。最も理想な立地場所はどこかを検討しながら、開業準備を検討するようにしましょう。
素材の仕入れ
焼きそば店として成功させるためには、食材にこだわる必要があります。特に焼きそば店の命とも言えるソースは徹底的にこだわる必要があります。人気店は特にソース開発に力を入れています。焼きそば店の命でもあるソースの仕入れに失敗すれば、競合店に負けてしまう可能性があるので、開業段階からソースをどうするか、開発するのか、老舗メーカーに発注するのかを検討するようにしましょう。
ターゲット層の選定
焼きそば店は、他の飲食店に比べて1食あたりの単価が安くなってしまいます。1,000円でも高いと感じてしまう利用者がいるので、適正な価格を選定する必要があります。この時重要なことが、ただ単価を下げるのではなく、ターゲットを絞って単価を調整することです。
オフィス街のビジネスマンをターゲットにするなら、お値打ちかつ満足度の高い焼きそばを提供する必要があります。学生をターゲットにするなら、低価格だけでなく、ボリュームを多くした焼きそばを提供し、満足度を高める工夫が必要です。ターゲット層によって価格とメニュー内容が異なるので慎重に検討しましょう。
まとめ
オリジナルの味にこだわって焼きそば店の開業を考えていると思いますが、どのような店舗コンセプトにするかによって、成功できるか否かが随分と違ってきますので、十分に準備をしましょう。