飲食店経営者必見!クレーム解決マニュアル
どのようなお店でもクレームはつきものです。お客さまがサービスや商品に対して不快に感じたり、期待値を下回ってしまった時に起こりやすいものです。クレームがない仕事はありませんが、飲食店などの接客業はお客様と直に対面して話すため、頻度が高いです。
飲食店でのクレームの主な原因は、異物混入や衛生面、待ち時間、接客態度の悪さなどが挙げられます。お店の信用問題に関わり、クレームが原因で営業が困難になってしまうこともあります。しかし、対応次第ではクレームをいったお客さまをリピーターに変えたり、お店の評判を上げることもできます。
今回は、これから飲食店を開業する方必見の飲食店におけるクレーム対応方法について解説していきます。
飲食店でよくあるクレームとは?
飲食店に寄せられるクレームには、ある程度傾向があります。まずはよくあるクレーム内容と、それらへの対応についてお知らせします。
食事に異物が混入していた
調理中に髪の毛や袋の破片等の異物が混入し、お客様が気付いた場合です。その場ですぐに報告いただくことも多く、他のお客様の目にもつきやすいので迅速に対応する必要があります。まずは誠心誠意謝罪し、すぐに代わりの料理を用意するようにしましょう。また、できれば料理長や調理担当が直接謝罪すると良いですね。
接客態度がなっていない
接客態度に関するクレームも上位を占めます。もしも特定の従業員に対するクレームであれば、お客様が覚えている限り従業員の名前や特徴を聞き出しましょう。接客に関するクレームはスタッフ全員で共有するのがベストですが、まずは当該の従業員に聞き取り調査を行い、双方の言い分を聞くことも大切です。その上で、今後に生かせる部分は周知させるようにしましょう。
提供に時間がかかってしまった
「料理が提供されるまでの時間が長すぎる」というクレームをいただいた場合は、お客様の来店日とおおまかな時間をお聞きしておきましょう。もしその日時は人手が足らず提供に時間がかかってしまった、といったような確かな事実があれば、スタッフのシフトや人員の増加も含め見直すべき点を洗い出します。お客様には誠心誠意謝罪し、今後提供時間を早められるよう対策を講じていくことをお伝えしましょう。
お客さまの勘違いや言いがかり
お客さまが勘違いして料理を頼んでいたり、店側には落ち度がないのに、「そっちのせいで、ひどいことになった」などと理不尽な不満や要求を突きつけられることもあります。いわゆる「クレーマー」です。気をつけたいのは、「クレーマー」と決めつけて顔に感情を出したり、面倒に思う態度が伝わったりしないようにすることです。そのことが伝わると相手は余計にエスカレートし、店の非があるところを次から次へと挙げては謝罪を求めてきます。肝心なのは、事実を確認し、その事実に絞って対処していくことです。
もし事実かどうかわからない場合は、適当な対応をせず可能な限り調べるようにしましょう。時間がかかるようであれば、責任者の権限範囲で具体的な対処を相手に伝えましょう。こちらに非がなく、必要な対処をしたにも関わらず、執拗に代償を求めてくる場合などは店外の専門家に相談する必要があるでしょう。
クレーム対応の基本と基本フォーマット
<span class=”bold”>「話を聞いて、事実関係把握」⇒「お詫び」⇒「対応、提案」</span>そして必要であれば責任者と交代という飲食店でのクレーム対応の基本についてお知らせします。そしてクレームが発生した場合に、お客さまを待たせてしまうのは厳禁です。迅速な対応ができるかどうかが、解決の鍵となります。
お客様の話をしっかりと聞いて、事実関係を把握する
クレームを受けた者はまずは仕事の手を止めるか、ほかのスタッフに代わってもらい、お客様の話を落ち着いて聴き、苦情の内容を正確に把握することが必要です。苦情の内容は必ず、飲食店側でメモを残します。お客様は自身の苦情の内容が正確に伝わっていないことでさらに腹を立てることが多いので、内容の記録や飲食店内の別の従業員への共有は正確性を常に意識しましょう。
お詫びをする
クレームの内容から飲食店側に非がある場合は、お客様にまず謝罪することが必要です。また、飲食店側に非がないと考えられるケースでも、不快な気持ちにさせたことを謝罪することによって、誠実な態度を示し、お客様の怒りをしずめることができます。謝罪したからあとで不利になるとか、あとで慰謝料を支払う義務が生じるということはありませんので、非があるかないかにかかわらず、まず、謝罪することが重要です。
誠実に対応し、提案する
お客様のご指摘について、すぐに対応出来る場合は何よりも優先します。すぐに対応できないとわかった場合は、必要な時間を調べ、お客様に伝えるようにしましょう。お急ぎの場合があるかもしれません。常にお客様のご都合を優先させてください。また、その場で解決できた場合でも店の責任者にすぐに報告しておくことを忘れないようにします。スピーディーかつ心のこもった対応が求められます。そして謝罪についてある程度受け入れていただいた後で、サービス改善の約束や、商品のお取替えなどを提案します。やってはいけない提案は、最初から値引きを提案したり全額引いてしったり説明や提案に具体性がないことです。
必要があれば、責任者に交代する
時間がかかると判断した場合は、すぐに店長などに報告し対応方法を検討しましょう。責任者には事実の部分と感情の部分を整理して伝え、責任者が応対する際にお客様が繰り返し説明することがないようにしましょう。お客様がお帰りになる際に、責任者が再びお詫びを申し上げ、店先までお送りするなどの対応も必要になります。店舗経営者や店舗責任者は、日頃からクレームなどを予測して、代替案や補償方法、二度と起こさないための施策について準備しておきます。
- 自己紹介と同時に相手の名前を聞く
- お客様の不満を聞く(絶対に途中で話の腰を折らないこと)
- お詫びをする
- 腹痛など体の異常を訴える場合は、病院を案内し、診断書の提出をお願いする
- お客様から聞いた不満をまとめ、要約して確認を取る
- 異物などあれば、見せてもらい了解を得て、回収する
- 返金、値引き、謝罪など解決案を提示・提案する
- 解決
- クレームのデータベース化をしておき、店舗改善につなげる
その場のクレームが解決してもそのままにしておかないでください。クレームはお客様からの貴重な意見としてとらえ、店舗の改善につなげること大切です。クレームをデータベース化をしておきましょう。
クレーム対応をしっかりと丁寧に行う理由とは?
飲食店だけに限らないですが、クレームへの対応は大変重要になります。それは、お客様への会社やお店の姿勢を表すからです。ビジネスはお客様があって成り立っているので、真摯に対応しなければいけません。クレーム対応は辛い仕事ですが、だからこそ会社やお店の姿勢が問われます。
お店の信用を損なわないため
クレーム対応を疎かにしてしまうと、お客様からの信用を大きく失うことになります。また、お店選びにネットの口コミを利用するお客様も多いため、1人の評判が集客に大きな影響を及ぼしてしまうこともあります。実際の対応に関しては内容を精査した後でも考えられますので、まずは目の前、あるいは電話口のお客様に対してしっかりと耳を傾けましょう。
お客様の声に耳を傾ける良い機会であるため
クレームというと、ネガティブなイメージをお持ちの方も多いと思います。しかし、実際は落ち着いた口調で報告して下さるお客様、店員目線では見落としてしまう点を気づかせて下さるお客様など、むしろこちらに利益をもたらしてくれるクレームもあります。また、そういったお客様の声は日頃聞く機会がないので、お店の経営をしていく上で非常に貴重な情報となります。
サービス向上の為
お客様から寄せられるクレームはお店で提供しているサービスや商品に対する「苦情」が大半です。そのため店側としては耳の痛くなる話ばかりですが、お客様からのそういった苦情はお店に対するアドバイスと捉えましょう。接客や料理に気を配っているつもりでも、実際にお客様にどのように受け取られているのか、普段は分かりづらいもの。お客様が気がかりになった点は貴重な意見として受け止め、商品やサービスの質を向上させるために活用するのが得策です。
クレーム対応マニュアルを作成しておきましょう
クレームはいつ発生するかわかりません。店長や社員がいない際に起こることもあるでしょう。しかしお客様にとっては、社員もパートもアルバイトも関係ありません。つまり、誰でもクレーム対応ができるようにマニュアルを作っておくと安心です。来店中、電話、ハガキといったようなそれぞれのケースに応じて大まかな流れを決めておきましょう。スタッフ全員が頭に入れておくことは大切ですが、とっさの判断でベストな行動を取るのは難しいため、マニュアルは明文化して誰でも観覧できる状態にしておくことも肝心です。
電話でクレームを受けた場合の対応方法とは?
飲食店へのクレームは電話で寄せられることも多いでしょう。アンケート用紙やメールと異なり、相手の感情がダイレクトに伝わってくるので怯んでしまいますが、落ち着いて対処することに集中しましょう。
まずはじめに、クレーム内容をよく聞くことが大切です。問題が発生した日時や詳しい状況など、お客様の言葉を聞き洩らさないよう、適宜メモを取るなどして耳を傾けます。お客様のお話が終わったら、まずは謝罪の言葉を述べます。反論はもちろんNGですが、ここで内容を聞き返したり、質問を重ねてしまうとお客様の神経を逆なでしてしまいます。より詳しい内容を聞きたい場合も、まずは謝罪の言葉を述べてからにしましょう。
飲食店に電話で寄せられるクレームは、接客態度に関する事柄が多く、その場ですぐに解決できるものではありません。しかし、お客様にはできる限り解決策を提示するようにします。たとえば、当該従業員に再教育を行う、全体に周知するというように、今後店としてどのように対処していくかを明示しましょう。
最終的にお客様に納得していただけた場合には、貴重なご意見をいただいたことに感謝の意を述べ、念のため連絡先を聞いておくことも忘れずにしておいてください。
まとめ
いかがでしょうか?接客業にクレームはつきものです。クレーム対応は誰もが嫌がる仕事ですが、サービスの品質を底上げする良い機会でもあります。基本部分の把握とマニュアル化してしまえばクレーム対応へのハードルも低くなります。その上で社員やアルバイトに周知すれば、クレーム対応もそう怖いものではありません。お店の信用を失わないためにも、飲食店開業までにしっかり取り決めておきましょう。