串揚げ(串かつ)店での開業について~必要な資格・届出・資金~
串揚げ(串かつ)店は、3等立地の10坪からでも開業でき、低投資で出店可能です。今回は、串揚げ(串かつ)店での開業について解説していきます。
串揚げ(串かつ)について
肉や魚介、野菜などを串に刺し、衣を付けて油で揚げた日本の料理で、串揚げ(串かつ)には、関東、関西、そして名古屋圏で、それぞれ違った流儀の調理法や食べ方があります。
従来は、個人店としての営業の多い業態でしたが、フランチャイズチェーンの展開もあり、全国的に知名度も広がり、男女を問わず、利用者が増えてきています。
串揚げ(串かつ)店で主に使用される食材
- 肉類
- 魚介類
- 野菜類
- ミックス系
- その他
牛(串カツ)、豚、鶏、馬、ソーセージ、つくね、砂肝、とり皮、なんこつ
アジ、キス、シシャモ、ワカサギ、エビ、ホタテガイ、カキ、タコ、イカ、竹輪、はんぺん
タマネギ、シイタケ、シシトウガラシ、ネギ、ナス、タケノコ、オクラ、プチトマト、ジャガイモ、サツマイモ、ナガイモ、ピーマン、レンコン、ゴボウ、カボチャ、ニンニク、ブロッコリー、アスパラガス
ピーマンの肉詰め、アスパラのベーコン巻き、チーズちくわ
ウズラ卵、チーズ、餅、餃子、焼売、紅しょうが、イナゴ、最中、バウムクーヘン
串揚げ(串かつ)店の開業に必要な資格とは?
串揚げ(串かつ)店を開業するために必要な資格には、以下になります。
- 食品衛生責任者
- 防火管理者(必要な場合あり)
- 飲食店営業許可
- 深夜酒類提供飲食店営業(必要な場合あり)
食品衛生責任者
食の安全に関わる資格で、飲食店であれば食品衛生責任者を各店舗に1名以上置かなければなりません。資格を取得するには、保健所が行っている食品衛生責任者養成講習を受講します。講習は1日で、10,000円の受講料がかかります。
防火管理者
従業員などを含む30人以上が収容される店舗の場合は、防火管理者を選任し、管轄の消防署長に届出が必要です。2日間の講習を受講することで防火管理者の資格を取得できます。
飲食店営業許可
「食品衛生責任者」「防火管理者」の2つの資格取得後、管轄する保健所に「飲食店営業許可」の届出をします。飲食店営業許可は、レストランやカフェ、お寿司屋さんやラーメン店など、一般的な飲食店であれば取得は必須です。もちろん串揚げ(串かつ)店も該当します。営業するお店の形態によって、必要な手続きや書類が異なりますので、保健所に事前に確認しましょう。
深夜酒類提供飲食店営業
夜間帯でもある午前0時以降に、お客様に対してお酒を提供する場合は、警察の生活安全課へ届出を行います。この届出を怠った場合、風営法の違反を犯すことになり、警察からの摘発を受け、営業停止の事態に陥ることにもなるため、重要な届出となります
開業する場合の手続き
個人事業主として行う場合、一般的な手続きとして、個人事業の場合、個人事業の開廃業等届出書、所得税の棚卸資産の評価方法・減価償却資産償却方法の届出書、青色申告承認申請書等を納税地の所轄税務署へ提出します。また、個人事業開始申告書は事業所所在地の都道府県税事務所へ。詳しくは、最寄りの管轄行政に問い合わせが必要です。
法人として会社を設立する場合、定款作成、会社登記をし、法人設立届出書、青色申告の承認申請書、給与支払事務所等の開設届出書、源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書、法人設立届出書(地方税)などを提出します。
開業にあたっての留意点・準備
串揚げ(串かつ)には、地域によって素材や調理法、食べ方が異なるので注意が必要です。以下地域ごとの食べ方になります。
関東
豚肉を四角にカットしたものと、玉葱や長葱を切ったものを交互に串に刺し、とんかつ同様の要領でパン粉をまぶして揚げたものが主流です。ソースは皿の上からかけるのが一般的です。
名古屋など中京地区
調理法は関東に準じますが、小皿に分けられた特性の味噌ダレに付けて食べるのが特徴的です。
関西
小ぶりに切った牛肉や魚介類、野菜を、串に刺して衣をまぶして揚げます。ソースは、客席に置かれた共用の容器に入った自家製ソースに顧客が自ら漬けて食べる形式の店が多いです。ソースの器が共用であるため、二度付け禁止のルールが徹底されています。
開業する場合、他の串揚げ(串かつ)料理店で修行した後に、自ら独立開店する方法と、フランチャイズチェーンに加盟して、本部からノウハウの提供を受けながら、事業運営していく方法とがあります。前者の場合は、素材や調理法に自由度があり、店主の独自性を出せるメリットがあります。一方、後者の場合は、ノウハウの提供を受けることはできますが、素材、調理法、食べ方は、本部の流儀に従うことになります。その他、チェーンへの加盟金や、毎月の売上高に応じたフィーの支払義務も生じてきます。加盟する本部を選ぶ際は、自らの事業スタイルや考え方に合致したところを選ぶ必要があります。
立地や必要開業資金
串揚げ(串かつ)店は、気軽に立ち寄りやすく、幅広い客層からも支持されやすいので、適合立地は多くあり小規模物件でも大丈夫です。そして物件取得費と改装費用を合わせて、他飲食店業態と比べても低投資の500万~700万円程度で開業も可能です。
開業資金をどこから調達すればいいのか?
開業するにあたり、自己資金、いわゆる貯金だけで開業できればいいですが、なかなか日々の生活費なども考えると難しい所です。では自己資金以外でどこから調達すればいいのでしょうか?
日本政策金融公庫
日本政策金融公庫とは、2008年10月1日に、国民生活金融公庫、農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫、国際協力銀行の4つの金融機関が統合して発足した100%政府出資の政策金融機関です。全国に支店網があり、固定金利での融資や、長期の返済が可能など、民間の金融機関より有利な融資制度が多く、設立間もない法人やこれから事業を始めようとする人であっても、融資を受けやすいのが特徴です。
一般的な中小企業に関係する事業は、国民生活事業になり、国民生活事業は事業資金の融資がメイン業務で、融資先数は88万先にのぼり、1先あたりの平均融資残高は698万円と小口融資が主体です。融資先の約9割が従業者9人以下であり、約半数が個人企業です。サラリーマンには馴染みではないですが、理由として、銀行のように口座はなく、貸付のみだからになります。
創業者向け融資制度である「新創業融資制度」や認定支援機関の助言があれば無担保・無保証、金利が安価になる「中小企業経営力強化資金」という融資制度がお勧めです。
信用保証付の融資
「信用保証協会」という公的機関に保証人になってもらい、民間の金融機関から融資を受ける制度です。貸倒のリスクを信用保証協会が背負うので、実績のない創業者が民間金融機関から融資を受けることが可能となります。万が一返済が不可能になった場合は、信用保証協会が代わりに金融機関に返済し、その後債務者は、信用保証協会に借入金を返済することになります。信用保証協会は全国各地にあり、地域ごとに創業者向けの融資制度を設けています。また独自の融資制度を設けている自治体も多くあります。
手続きの手順としては、信用保証協会に保証の承諾を受け、金融機関から実際の融資を受けるという流れになります。また各自治体の制度を利用する場合は、自治体の窓口を経由することになります。
親族、友人・知人からの借入
親族・知人から借入をする際には、その人の好意でお金を借りることになります。先々トラブルにならないようにしっかりとした取り決めをおこなっておくことが重要です。いくら近い間柄とは言え、お金を貸す側の心理としては複雑なものです。また、後々トラブルになりやすい資金調達法でもあるため、甘えてしまわないよう入念な説明と借用書などを交わすなど、お互いが納得のいく取り決めをしっかりとしておきましょう。
その他注意点として、金額によっては贈与税を納めなくてはならないので、実施する場合は、贈与とみなされないよう書面(金銭消費貸借契約書)を作成したほうが良いでしょう。また、利息など契約内容も明確にし、返済は銀行口座を通じたり、領収書をもらうなどして、証拠を残したほうが良いでしょう。
まとめ
串揚げ(串かつ)店は、庶民居酒屋として、20~60代、男女問わず愛されています。開業について、適合立地が幅広い事や、低投資&高粗利なので多店舗化しやすいのも特徴になります。