たこ焼き屋での開業について~必要資格・届出や開業資金など~
たこ焼きは日本を代表するソールフードで、老若男女を問わずあらゆる各世代に愛されている食べ物です。
今回は、たこ焼き屋での開業について解説していきます。
たこ焼き屋を開業するスタイル
通常、たこ焼き屋を開業する方法には大きく3つのスタイルがあります。それぞれにメリット・デメリットがあるので自分にあったスタイルを選んで行くことが大切です。
個人開業
個人開業の場合、独自のノウハウを確立して軌道に乗せるまでが大変ですが、それを過ぎれば多くの利益を得られる可能性があります。また個人店を開業する場合、フランチャイズに比べて小資金からでも始めることができるので、自分の予算に応じて小規模で始めたい人にはおすすめです。店舗形態や広告宣伝なども独自で考えながら地道にやっていくことも出来るので、予算の掛け方やこだわりも全て自分の好みで決めていけるのも大きな魅力です。
ただし知名度のない個人店の場合、固定客を作り安定した売上げを立てるためには、相応の広告宣伝を行う必要があります。有名店と比べて売り上げを安定させるまでに期間が必要である点は覚悟しましょう。
フランチャイズ
フランチャイズなら開業までのステップがテンプレ化されているので、開業も比較的容易で軌道に乗るまでの期間を短縮することができるほか、さまざまな経営指導を受けることができます。たこ焼きの焼き方・食材のレシピ・道具の使い方・販売方法・ディスプレイ等、開業時にも多くの点をフォローしてくれるでしょう。有名ブランドのフランチャイズで開業すれば、ノウハウも体系化されており初月から比較的堅調な売り上げを立てることが可能な場合が多いと言えるでしょう。
ただし、フランチャイズの場合はフランチャイザーの方針に沿ったブランドイメージを壊さない店舗作りが必要なため、自分の意向を反映することが難しく開業費用が高額になりがちです。
屋台形式
屋台での開業は、店舗をかまえる開業と比べると安上がりで済みやすいです。たとえば自宅の庭に小さな屋台と最小限の設備で開業するのであれば、100万円以内で開業することも不可能ではありません。
屋台で改造した車両に対しては、食品衛生法の許可を受けて車検を受けます。屋台だからと言って営業許可が不要という事はもちろんなく、もちろん保健所の許可が必要です。また出店に際し、道路を使用する場合には道路許可が要りますし、スーパー等の空きスペースを使う場合でも店舗側との利用交渉が必要となります。開業費用を抑えやすい屋台ではありますが、近隣住民からの苦情が起こったり場所の確保が困難になりやすい等、場所を間違うと割に合わない開業となるので注意が必要です。
たこ焼き屋の開業時に求められる資格とは?
たこ焼き屋は飲食店の一種ですので、所轄の保健所の食品衛生課に営業許可の申請を行うことが求められます。許可を得るためには、施設要件や設備要件を満たす店舗や設備になっていなければいけません。元飲食店の居抜き物件の場合はそれほど心配はいりませんが、スケルトン物件の内装工事などを行う場合は、保健所の求める要件を確認した上で工事内容を決める必要があります。工事会社は飲食店工事を手掛けた経験がある会社を選ぶことをおすすめします。
また、飲食店では食品衛生責任者の資格を持っている人を店舗に配置することも求められます。食品衛生責任者の資格は1日程度の講習を受けることで取得できますので、1人で営業する予定の人は開業前に取得しておく必要があるでしょう。
その他、防火管理者はすべての飲食店に必要という訳ではありませんが、収容人数が30人以上(従業員を含む)になる飲食店の場合、選任する必要があります。都道府県や市区町村など地域によって異なりますが、甲種新規講習は2日間、乙種は1日で取得することが出来ます。受講料は、甲種新規講習が7,500円、乙種講習が6,500円です。
開業に必要な手続き
個人事業主として行う場合、一般的な手続きとして、個人事業の場合、個人事業の開廃業等届出書、所得税の棚卸資産の評価方法・減価償却資産償却方法の届出書、青色申告承認申請書等を納税地の所轄税務署へ提出します。また、個人事業開始申告書は事業所所在地の都道府県税事務所へ。詳しくは、最寄りの管轄行政に問い合わせが必要です。
法人として会社を設立する場合、定款作成、会社登記をし、法人設立届出書、青色申告の承認申請書、給与支払事務所等の開設届出書、源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書、法人設立届出書(地方税)などを提出します。
開業に必要な資金は?
たこ焼き屋を開業するにあたって必要な資金は主に店舗物件準備、厨房設備、広告宣伝、食材調達費用などが上げられます。
個人開業の場合、小規模な店舗であれば200~300万円程度からでも可能です。物件費用についても家賃が15万円程度であれば保証金も含めて初期費用として200万円程度を見ておけば良いでしょう。内装費についても極力シンプルでお金をかけない仕様であれば小規模な店舗であれば100万円程度でも十分可能です。厨房設備については、冷蔵庫などの大型機材を揃えたとしても中古品などをうまく揃えれば10〜20万円程度で賄うことができます。
フランチャイズの場合は、その他に加盟料、保証料、研修費、ブランド使用料などがかかります。内装費などもブランド指定の内容で統一する必要があるため、個人店と比較しても高額となる場合がほとんどです。また開業後も、売り上げに応じたロイヤリティが発生する場合もあるので確認しておく必要があります。
テント屋台など、簡単な屋台を開くだけであれば数万円~の費用から検討する事ができます。自動車等を改造して屋台にするケースであれば、改造費用や設備を整えるために100万円程度の資金が必要になるでしょう。
開業資金をどこから調達すればいいのか?
開業するにあたり、自己資金、いわゆる貯金だけで開業できればいいですが、なかなか日々の生活費なども考えると難しい所です。では自己資金以外でどこから調達すればいいのでしょうか?
日本政策金融公庫
日本政策金融公庫とは、2008年10月1日に、国民生活金融公庫、農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫、国際協力銀行の4つの金融機関が統合して発足した100%政府出資の政策金融機関です。全国に支店網があり、固定金利での融資や、長期の返済が可能など、民間の金融機関より有利な融資制度が多く、設立間もない法人やこれから事業を始めようとする人であっても、融資を受けやすいのが特徴です。
一般的な中小企業に関係する事業は、国民生活事業になり、国民生活事業は事業資金の融資がメイン業務で、融資先数は88万先にのぼり、1先あたりの平均融資残高は698万円と小口融資が主体です。融資先の約9割が従業者9人以下であり、約半数が個人企業です。サラリーマンには馴染みではないですが、理由として、銀行のように口座はなく、貸付のみだからになります。
創業者向け融資制度である「新創業融資制度」や認定支援機関の助言があれば無担保・無保証、金利が安価になる「中小企業経営力強化資金」という融資制度がお勧めです。
信用保証付の融資
「信用保証協会」という公的機関に保証人になってもらい、民間の金融機関から融資を受ける制度です。貸倒のリスクを信用保証協会が背負うので、実績のない創業者が民間金融機関から融資を受けることが可能となります。万が一返済が不可能になった場合は、信用保証協会が代わりに金融機関に返済し、その後債務者は、信用保証協会に借入金を返済することになります。信用保証協会は全国各地にあり、地域ごとに創業者向けの融資制度を設けています。また独自の融資制度を設けている自治体も多くあります。
手続きの手順としては、信用保証協会に保証の承諾を受け、金融機関から実際の融資を受けるという流れになります。また各自治体の制度を利用する場合は、自治体の窓口を経由することになります。
親族、友人・知人からの借入
親族・知人から借入をする際には、その人の好意でお金を借りることになります。先々トラブルにならないようにしっかりとした取り決めをおこなっておくことが重要です。いくら近い間柄とは言え、お金を貸す側の心理としては複雑なものです。また、後々トラブルになりやすい資金調達法でもあるため、甘えてしまわないよう入念な説明と借用書などを交わすなど、お互いが納得のいく取り決めをしっかりとしておきましょう。
その他注意点として、金額によっては贈与税を納めなくてはならないので、実施する場合は、贈与とみなされないよう書面(金銭消費貸借契約書)を作成したほうが良いでしょう。また、利息など契約内容も明確にし、返済は銀行口座を通じたり、領収書をもらうなどして、証拠を残したほうが良いでしょう。
まとめ
老若男女を問わず、多くの人たちから親しまれている日本人のソールフード「たこ焼き」。たこ焼き屋は他の飲食事業と比較しても開業しやすい業態です。また初期費用も安く、うまく経営して行けばしっかりと利益を出すこともできます。