飲食店が業態転換をする際の注意点とは?
お店の経営状態が芳しくないときに業態転換を行い、再出発を図ろうとする経営者は少なくないです。しかし、再投資が必要なケースも多く、相応のリスクが伴います。
そこで今回は、飲食店が業態転換をする際の注意点について解説していきます。
そもそも業態転換とは?
飲食店では、店のジャンルを変更することを『業態変更』または『業態転換』と言います。居酒屋業態の幅広いメニュー設定の店舗から専門性の高い店舗への業態転換が増えています。また、既に行っているサービスに、テイクアウト・デリバリーを始めるような、付加価値をつける意味合いの業態転換もあります。
業態転換すべき店舗とは?
飲食店の店舗の運営は、できるだけ同じブランド、同じ業態で長い期間運営できるよう経営努力することが基本です。しかし、お店の業績を出来るだけ早く改善しなければならない場合や、ライフスタイル・食文化の変化などの外部環境の要因によりこれまでの営業スタイルでは成果を出しにくい経営環境に陥った場合には、業態転換をする必要がでてきます。
デリバリーやテイクアウトの定着、飲食通販業界の拡大などのオムニチャネル化が加速する中で飲食店の在り方や戦略、顧客の食事スタイルも着々と変化しており、これまでとは異なる集客方法が求められています。課題が明確であり、リニューアルや業態転換によってその課題が解決できそうな店舗では、業態転換をするべきでしょう。
注意したいのが、業績不振の原因が、商品・サービスの精度やオペレーションに起因している場合です。その場合は、業務改善・運営改善による業績向上を図るべきです。業態転換を考える際には、業績不振の原因を正しく判断する必要があります。
業態転換するだけの資金の余力がある事が必要
業態転換するだけの資金余力があることは必須です。以前は黒字だったが、だんだん売上が下がってきたというような店舗であれば、まだ資金余力がある場合も多いでしょう。
金融機関から借入をする場合、現在の事業についての説明と将来の事業計画が非常に重要です。いきなり貸してくれといってもなかなか難しいので、金融機関とは日頃からこまめにコミュニケーションを取っておく必要になってきます。
業態転換の内容
ここからは、業態転換の内容についてご紹介します。
メニューの専門化
外食に対して付加価値を求める傾向が高まりつつあります。その需要に応えるためには、顧客満足度の高いメニューが必要です。「唐揚げ」「串焼き」「オーガニック」など、「〇〇を食べるならこのお店」と思われるような専門性の高い店作りを目指します。メニューの専門化も顧客ターゲットも『絞る』ことが重要です。『絞る』ことで、お店の特徴をアピールしましょう。
夜営業から昼営業主体へ変更
夜営業主体から、昼営業主体への営業形態を変更。宴会や飲み会ではグループ客が多く来店しますが、ランチでは単独のお客様も多いです。そのため、ランチ主体にする場合、カウンター席の設置や増設するのもおすすめです。カウンターの取り付けが難しい場合は、小さめのテーブル席を複数用意し、少人数でも利用しやすい環境にしましょう。
テイクアウト専門店
テイクアウト専門店は、三密状態を避けられるため出店が増えています。ショーケースにずらりと並んだ惣菜は、需要が高い惣菜店としてのインパクトは大きく、イートインとの両立を図ることもできます。テイクアウト専門店に業態変更する場合は、大き目のショーケースを取り入れるのがおすすめです。商品を衛生的に管理できるのはもちろん、販売する惣菜やお弁当、スイーツなどが分かりやすく並んでいると、複数の商品を追加で購入する人も増えます。メニュー表とは違う、魅力ある見せ方ができるのもショーケースのメリットです。
調理したメニュー以外の商品も販売
商品販売用の棚を設け、独自の仕入れを生かして、総菜・弁当に加えて無農薬・減農薬の野菜や米、自社工場で加工するソーセージなどを販売。イートインスペースも用意すると、店内でドリンク類や購入した惣菜や弁当も楽しんでもらえます。
業態転換において注意すべき点とは?
最後に、業態転換において注意すべき点についてご紹介します。
まず、メニュー変更する場合には、変更後の内容がトレンドを押さえており、かつ一過性のものではないか確認しましょう。飲食店ほど流行のサイクルが早い業界もなかなか無いです。かといって、トレンドを押さえていないと話題にならないため、今後も人気が出るメニューなのかどうかを見極める必要があります。
また、顧客ターゲットを変える場合は、ターゲット顧客が近隣にいるか、ニーズに合っているか調査が必要です。メニューや顧客ターゲットを変えた場合、今まで競合だと捉えていなかった店舗が競合店になります。差別化できるポイントを考えることも必要になってきます。価格帯が変わる場合は、価格が変わると内装や接客サービスなども変更する必要があります。それらを変更するだけの資金余力はあるか、業態転換後の客単価と想定客数をもとにその投資の回収は可能かどうかを必ず確認しましょう。
そしてカフェのように火や煙をほとんど出さない『軽飲食』から、焼肉・中華・ラーメンのような油をたくさん使い煙やにおいが大量に出る『重飲食』への業態転換は、家主さまからの許可が得られない場合もあります。重飲食への変更は、煙やにおいが近隣住民とのトラブルの原因となりやすいため注意が必要です。また、同じビルや同じ施設内で飲食店の業態がバッティングしてしまう場合にも、家主さまの許可が得られない場合があります。事前に、業態制限の有無、バッティングの可不可を確認するようにしましょう。
最後に、屋号を変えたり、客席や厨房内の簡易な変更をする場合「営業許可申請事項変更届」の提出が必要となります。厨房内の改装規模によっては、新たに営業許可を取得しなくてはならない場合があります。変更する場合には、事前に管轄の保健所に相談しましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?今回は、飲食店が業態転換をする際の注意点について解説しました。
コロナ過の今、業態転換に関する補助金や助成金が充実しています。これから新型コロナは収束に向かってゆくと言われていますが、だからといって飲食店の売り上げが元に戻るとは言い切れません。補助金や助成金目的で業態転換をするのは得策ではないですが、上記でご紹介した内容に当てはまる店舗は業態転換するきっかけになるかもしれません。