飲食店の雰囲気を左右する「床(床材)」の種類や選び方について解説
飲食店の床材について、内装づくりに欠かせないものですが、一口に言ってもさまざまな種類があり、店舗の業態やコンセプトによって適した素材は異なります。また、一度張り替えると変更が難しいため、慎重に選びたい所です。
そこで今回は、飲食店の床に使える素材の種類や選び方について解説していきます。
床材の種類とは?
まずは、店舗に使える代表的な床材の特徴を紹介します。
フローリング
フローリングは、木の床材のことで、住宅などでは、居間などによく使われる材料です。木でできているため、木の持つ柔らかさや居心地の良さがあり、ゆったり感を表現してくれます。
ただ、フローリングは水に対して耐久性が低いため、水の影響を強く受けるとことには適していません。それでも最近は、特殊加工をして水分や洗剤に強く耐久性の高いフローリングも作られるようになり、市場に出回っています。
クッションフロア
クッションフロアは、壁紙を床に適用したものと考えてよいと思います。材料はビニールですからタイルほど耐久性はありませんが、掃除が簡単にでき、しかも、貼るのが簡単です。最近では、遮音性に優れたものや床の下地が傷まないように工夫されたものなど機能性の高いものも出回っています。また、木目調やタイル感覚のクッションフロア材も販売されています。
タイル
タイルとひと口に言っても種類はさまざまです。
- 磁器タイル:水や火に強いので、調理場床にも向いている
- セラミックタイル:天然石調や大理石調、木調など、選べる幅が広い
- 天然石タイル:高価だが、天然石ならではの高級感が魅力
硬質素材のタイルは、水や油、火に強く、土足での使用にも適しています。丈夫な分、値が張りますが、耐久性やビジュアル面でも使いたい素材です。その反面、簡単には張り替えられません。ものによっては濡れると滑りやすいことがあります。雨天時の出入り口や調理場付近など、濡れる可能性が高い場所は、よく確認して下さい。
カーペット
断熱、防音性に優れた床材です。上品な空間を演出できるため、ホテルや喫茶店、オフィスなどで重宝されています。ただし、摩擦や水に弱く、汚れやすくもあるため、飲食店には不向きです。
どうしてもカーペットを使用したい場合は、耐久性、歩行性に優れ、汚れのつきにくい「ループタイプ」を選ぶことをおすすめします。また、カーペットは消防法施行規則等により使用できない場合があるため、使用できるかを事前に確認しましょう。
デザインコンクリート
デザインコンクリートは、コンクリートに色を付け、押し型で模様を付けてデザインしたものです。耐久性は抜群でメンテナンスが簡単、しかも滑りにくいので、公園や通路などの屋外に使われることが多いです。
デメリットは、見た目が粗い感じがするので、ソフト感を要求される室内には向かないかもしれませんが、その粗さをわざと表現したい場合には適していると言えるかもしれません。
飲食店におススメの床材は?
飲食店の床は人の行き来が激しく、汚れやすい所です。顧客が出たり入ったりするのはどの店舗でも同じですが、飲食店では、接客係が注文を取りに来たり、注文したものを運んで来たりします。そのうえ、顧客が食べ物や飲み物をこぼしたりすることもあるので、飲食店の床に求められる要素は、維持が簡単なことと耐久性が高いことです。それでいて、清潔感を感じさせるものが理想的です。
クッションフロアは耐久性が十分ではなく、フローリングは水分に弱く、カーペットは掃除が大変です。そのため飲食店の床材として適しているのは、タイルまたはデザインコンクリートになると思います。
注意点や選び方のポイントとは?
店舗の雰囲気に合うものを選ぶことも大切ですが、もう一つ欠かせないのが安全面に優れ、メンテナンスのしやすい素材を選ぶこと。また、飲食店の厨房の床材に関しては、各都道府県によって定められている「食品衛生法施行条例」に従う必要があるため、選び方に注意しなければなりません。
さらに、同じ床材でも費用に幅があるため、費用面も考慮する必要があります。デザインはもちろんのこと、予算に応じた素材を選ぶことも重要になるでしょう。ただし値段重視で選んでしまうと、思っていた出来上がりと違うと感じたり、床材の劣化が早くなってしまったりして、結果的に張替が必要になる場合も。施工会社に相談しながら、慎重に検討することをおすすめします。
まとめ
床(床材)は種類が豊富なので、業態に応じて相応しいものを選ぶことが何よりも大切です。そのためには、できるだけ床材の特徴を覚えておくか、どんな床材にしたいのか明確にイメージしておきましょう。機能も重要ですが床材によって費用も異なりますので、必ず予算に合ったものを選びましょう。
保健所の検査では、基本的に店内を清潔に保っていけそうかどうかを見られます。床だけでなく、天井、壁、設備などもしっかり見られますので不備がないように、あらかじめ保健所に相談しに行くとアドバイスしてもらえます。
床は家具や客席に隠れてしまいますが、面積が広いため必ずお客様の目に入ります。そのため、店の雰囲気を損ねないものにしなくてはいけません。どんな床材が良いのか迷ったときは、業者と相談しながら決めていくのも良い方法だといえます。