食材とバランスよく、収益もアップ!原価率を意識したメニュー開発術
飲食店におけるメニューづくりは、お店の方向性を決める重大な要素であり、感覚で決めてしまうのは大きな失敗を招き、最悪の場合お店を潰してしまうだけの影響があります。
今回は、メニュー開発のポイントについて、そして原価率について解説します。
飲食店メニュー開発の基本
基本的に飲食店のメニューは「定番メニュー」と「新メニュー」の2種類に分けられます。
定番メニューはお店の看板ともいえる商品で、これを目当てにお客様が来店するので、基本的に定番メニューを中心に売り上げ構成がされていきます。
新メニューは、新規顧客獲得だけでなく、リピート顧客を飽きさせないためにも重要です。定番メニューにはない「新鮮さ」や「限定感」をお客様に提供する役割もあります。
新規出店飲食店の場合、当初は定番メニューを押していきますが、新しいメニューが評判になれば定番メニューになることもあります。そして一般的にはですが、飲食店で儲けを出すためには、利用する食材数は少なく、メニュー数は多くしたほうが良いですので、ここを心掛けてメニューの開発をしましょう。当たり前ですが、品質は良く、仕入れ値は安くすることも心掛けましょう。
定番メニューの開発ポイント
定番メニューは売り上げの中心で、お店の看板商品です。この設定が間違えてしまうと飲食店としての価値や経営が立ち行かなくなる可能性があります。
お店のコンセプトにあわせて考える
最も重要なのが、お店のコンセプトや店名、場所など、お店の根幹部分と看板メニューを合わせて考える必要があるという事です。コンセプトと合わせない看板メニューは顧客が離れる原因にもつながります。単に今流行っているという理由で看板メニューをつくりはやめましょう。
看板メニューを考える
お店に看板メニューがあることで、お客様の来店動機や集客にも繋がります。自分のお店ならではのメニュー、いわば看板商品があるとないでは飲食店としての価値が変わってきます。
ターゲットを想定して考える
出店する飲食店の料理を誰に食べて欲しいのか最初に考えたと思います。そのターゲットとなる人が食べたいと思う、喜ばれるメニューを考えるのが自然です。
SNSでの拡散を意識する
見た目は、集客に大事な口コミに大きな影響をもたらします。特に、twitterやFacebook、InstagramといったSNSで誰もが気軽に情報を発信し、拡散できます。思わず撮りたくなってしまうようなインパクトがある看板メニューの見た目であれば、顧客が自分から宣伝をしてくれますので、見た目・盛り付けにすることも大事にしましょう。
新メニューの開発ポイント
新メニュー開発は、通常営業の合間でレシピを検討し、試作を繰り返しますので大変ですが、お店が継続させるためには欠かせない作業です。
では、新メニューの開発ポイントはどんなものでしょうか?
コンセプトは変えない
いくら新メニューといってもお店のコンセプトに合わないメニューだと顧客離れにつながります。基本的な部分は変えないことを心掛けましょう。
飽きがこないように工夫する
新メニュー開発は、現店舗の固定概念を変える大きなチャンスです。
季節の食材を使って限定感を出したり、流行りの食材や調理法を取り入れたりすれば、お客様を飽きさせない工夫にもつながります。
共通食材を使う
共通食材を多く用いることは食材の有効利用につながり、食材のロスが少なくなります。
ロスを逆手に取る
今まで経営する中で、よく余っていた素材を使ったレシピを考えると、利益アップにもつながります。
見た目やネーミングを工夫する
見た目やネーミングは、他店との差別化が図れます。現在、インスタ映えが流行っているように、来店者(特に女性)が気に入った商品をSNSなどで拡散してくれ、新規顧客につながる可能性があります。
その他メニュー開発
前述で説明してきた「新メニュー」や「定番メニュー」以外にも、利益率の高いメニュー(原材料費や、調理のコストがかからないメニューで店の利益への貢献度が高い)や期間限定メニュー(季節ごとの一品など、一定期間で変わるメニュー群で、継続して来店してくれる客を飽きさせない効果がある)なども出来れば開発しておきましょう。
メニューのネーミングは「文字での”盛り付け”」が大切
メニューのネーミングもとても大切です。例えば、同じメニューでも、「ハンバーグサンド」よりも「○○産 ハンバーグサンド」の方がイメージが違いますし、「シーザーサラダ」よりも「無農薬野菜のシーザーサラダ」の方が体に良いという印象を与えます。
商品が持つ魅力(材料の産地や調理法など)をしっかりとお客様に伝えられるネーミングを心がけましょう。
「また来たい」と思ってもらうことが大事
「定番メニュー」や「新メニュー」が出来る事で、お店に活気が湧き、お客様を呼び込みやすくします。それぞれ開発のポイントはありますが、大事なのは、期待を裏切らない美味しさがあることです。また、看板メニューはあくまで「きっかけ」に過ぎません。
大事なのは、お客様がリピーターになってくれることです。そのためにも、「また来たい」と思ってもらえるメニューを開発しましょう。
原価率とは
原価率とは販売価格のうち原価が占める割合のことで、原価を販売価格で割ったものをいいます。
たとえば朝食セットの原価が200円で販売価格が1,000円の場合の原価率は、およそ20.0%(=原価200円÷販売価格1,000円)となります。
売れ残りや、発注ミスによる破棄が発生したらどうなるのでしょうか?当然、原価率が上がり、利益が少なくなりますので、開業する際には、ミスが起こることを想定して原価率を考えておいた方がいいです。
適正の原価率は?
一般的に食材原価は売上の30%と言われております。
ただし、全てのメニューを原価30%にするということではなく、「出血大サービス!!当店自慢の○○が500円!!」のような原価率90%という極端なメニューもあったり、原価率が5%というメニューもあったりで、平均的に30%ほどを目指していくことが好ましいと言えます。
・業種別 原価率・人件費率の目安
原価率を下げる方法
原価率を下げる方法としては、価格単価を上げる事、材料の仕入れ価格を下げる事、廃棄量(ロス)を減らすことの3つが挙げられます。
現実的に価格単価を上げることは難しいので、まずは材料の仕入れ価格を下げることと、廃棄量(ロス)を減らすことを考え、実行しましょう。材料の仕入れ価格を下げて、品質を落とすことは避けたいので、何社か仕入先選定を行い、各社の提案をうけて決めていきましょう。
廃棄量(ロス)を減らすことについては、先程お伝えした、新メニュー開発にも紐づきますが、余った素材を新メニューに使えるか検討することは得策です。
原価率を確認するタイミングについて
原価率を確認するタイミングは主に4つあります。
- 原価率を設定する時(開業前)
- 原価や仕入価格に変更があった場合(開業後)
- 月次で粗利額の見込み計算をする時(開業後)
- 週単位で売上分析をする時(開業後)
特に開業前の設定する時と原価や仕入価格の変更があったときは必ず見直しましょう。
まとめ
前述で業種別の原価率をお知らせしましたが、適性の原価率に合わせようとするとお店のメニュー開発や食材仕入で妥協が出てきますし、メニュー開発と食材仕入で高額な設定や品を購入すると経営が圧迫します。
出来る事なら、当初検討したコンセプトに合わせて、出来るだけ原価率を意識したメニュー開発や食材の仕入れ先を行っていきましょう。